Q 行政書士試験過去問 カーボン複写の方法による自筆の遺言
【判事事項】
一 カーボン複写の方法によって記載された自筆の遺言と民法968条1項にいう「自書」の要件
二 二人の遺言が一通の証書につづり合わされている場合と民法975条
【裁判要旨】
一 カーボン複写の方法によって記載された自筆の遺言は、民法968条1項にいう「自書」の要件に欠けるものではない。
二 一通の証書に二人の遺言が記載されている場合であっても、その証書が各人の遺言書の用紙をつづり合わせたもので、両者が容易に切り離すことができるときは、右遺言は、民法975条によって禁止された共同遺言に当たらない。
原審の適法に確定した事実によると、本件遺言書は、Dが遺言の全文、日付及び氏名をカーボン紙を用いて複写の方法で記載したものであるというのであるが、カーボン紙を用いることも自書の方法として許されないものではないから、本件遺言書は、民法968条1項の自書の要件に欠けるところはない。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に立って原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。
同第三点について
原審の適法に確定した事実関係は、本件遺言書はB五判の罫紙四枚を合綴したもので、各葉ごとにDの印章による契印がされているが、その一枚目から三枚目までは、D名義の遺言書の形式のものであり、四枚目は被上告人B名義の遺言書の形式のものであって、両者は容易に切り離すことができる、というものである。右事実関係の下において、本件遺言は、民法975条によって禁止された共同遺言に当たらないとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に立って原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
判例は,こちら
【判事事項】
自筆遺言証書における押印と指印
【裁判要旨】
自筆遺言証書における押印は、指印をもつて足りる。
判例は,こちら