過去問行政書士試験 国家賠償法と民法の適用関係
【判事事項】
一 国道への落石の事故につき道路の管理にかしがあると認められた事例
二 国家賠償法2条1項に基づく損害賠償責任と過失の要否
【裁判要旨】
一 国道に面する山地の上方部分が崩壊し,土砂とともに落下した直径約1メートルの岩石が,たまたま該道路を通行していた貨物自動車の運転助手席の上部にあたり,その衝撃により,助手席に乗つていた者が即死した場合において,従来右道路の付近ではしばしば落石や崩土が起き,通行上危険があつたにもかかわらず,道路管理者において,「落石注意」の標識を立てるなどして通行車に対し注意を促したにすぎず,道路に防護柵または防護覆を設置し,危険な山側に金網を張り,あるいは,常時山地斜面部分を調査して,落下しそうな岩石を除去し,崩土のおそれに対しては事前に通行止めをするなどの措置をとらなかつたときは,通行の安全性の確保において欠け,その管理にかしがあつたものというべきである。
二 国家賠償法2条1項による営造物の設置または管理のかしに基づく国および公共団体の損害賠償責任については,過失の存在を必要としない。
第1条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
第2条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。
第3条 前2条の規定によつて国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有する。
第4条 国又は公共団体の損害賠償の責任については、前3条の規定によるの外、民法の規定による。
第5条 国又は公共団体の損害賠償の責任について民法以外の他の法律に別段の定があるときは、その定めるところによる。
第6条 この法律は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用する。
試験によく出る判例【昭和45年8月20日,最高裁判所第1小法廷,損害賠償請求】の『国家賠償法2条1項による営造物の設置または管理のかしに基づく国および公共団体の損害賠償責任については,過失の存在を必要としない。』=無過失責任,これだけ知っておけば試験には対応できます!
1〇 国家賠償法4条
2〇 国家賠償法4条
3〇 国家賠償法2条1項
4✖ 国家賠償法2条1項,『国家賠償法2条1項による営造物の設置または管理のかしに基づく国および公共団体の損害賠償責任については,過失の存在を必要としない。』
5〇 原文のまま
※ 公権力の行使にあたる公務員の失火と失火の責任に関する法律の適用の判例は,こちら