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過去問行政書士試験 正当防衛及び緊急避難 民法の規定および判例

【令和4年行政書士試験出題】

【問題】不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1 未成年者が他人に損害を加えた場合、道徳上の是非善悪を判断できるだけの能力があるときは、当該未成年者は、損害賠償の責任を負う。

2 精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、過失によって一時的にその状態を招いたとしても、損害賠償の責任を負わない。

3 野生の熊が襲ってきたので自己の身を守るために他人の宅地に飛び込み板塀を壊した者には、正当防衛が成立する。

4 路上でナイフを振り回して襲ってきた暴漢から自己の身を守るために他人の家の窓を割って逃げ込んだ者には、緊急避難が成立する。

5 路上でナイフを持った暴漢に襲われた者が自己の身を守るために他人の家の窓を割って逃げ込んだ場合、窓を壊された被害者は、窓を割った者に対して損害賠償を請求できないが、当該暴漢に対しては損害賠償を請求できる。


【民法(改正対応)】↓

第712条(責任能力)
未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。

第713条 精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。

第720条(正当防衛及び緊急避難)
他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない。ただし、被害者から不法行為をした者に対する損害賠償の請求を妨げない。
2 前項の規定は、他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷した場合について準用する。


【試験ポイント】✨

1✖ 民法712条,民法712条の「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能」とは,道徳上不正の行為であることを弁識する知能の意味ではなく,加害行為の法律上の責任を弁識するに足るべき知能を指す(大判大6・4・30)。

【責任能力が否定された判例】大判大6・4・30

【責任能力が肯定された判例】大判大4.5.12

2✖ 民法713条ただし書き

3✖ 民法720条2項,正当防衛ではなく,緊急避難

4✖ 民法720条1項,緊急避難ではなく,正当防衛

5〇 民法720条1項ただし書き