業務・試験対策

MEASURES

行政書士試験過去問民法改正 債権者代位権

【令和3年行政書士試験出題】

【問題】債権者代位権に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。

1 債権者は、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)のうち、債務者の取消権については、債務者に代位して行使することはできない。

2 債権者は、債務者の相手方に対する債権の期限が到来していれば、自己の債務者に対する債権の期限が到来していなくても、被代位権利を行使することができる。

3 債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が動産の引渡しを目的とするものであっても、債務者の相手方に対し、その引渡しを自己に対してすることを求めることはできない。

4 債権者が、被代位権利の行使に係る訴えを提起し、遅滞なく債務者に対し訴訟告知をした場合には、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることはできない。

5 債権者が、被代位権利を行使した場合であっても、債務者の相手方は、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない。


【債権者代位権に関する見直し 出典:法務省】↓

【債権者代位権】とは・・・
債権者が自己の債権を保全するために必要があるときは、債務者の第三者に対する権利を債務者に代わって行使(代位行使)することができる制度
【例】債務超過に陥った請負業者(債務者)が注文者(第三債務者)からの請負代金の回収を怠っている場合に、その請負業者に融資している銀行(債権者)は、注文者に対する請負代金債権を代位行使することができる。
【問題の所在】
債権者が他人である債務者の財産管理に介入する制度であるにもかかわらず、現423条は骨格を定めているのみ。→具体的なルールは判例によって形成されている。


【改正法の内容】↓

【次のようなルール等を創設】
金銭債権等を代位行使する場合には、債権者は自己への支払等を求めることができる。【新民法423-3】

債権者の権利行使後も被代位権利についての債務者の処分は妨げられない。【新民法423-5】

債権者が訴えをもって代位行使をするときは、債務者に訴訟告知をしなければならない。【新民法423-6】
※訴訟告知:訴訟が提起されたことを利害関係のある第三者に告知する裁判上の手続をいう


【試験ポイント】✨

1✖ 民法第423条(債権者代位権の要件)1項,『債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。』,

2✖ 民法第423条(債権者代位権の要件)2項,『債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。』

3✖ 民法第423条の三(債権者への支払又は引渡し)

『債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とするものであるときは、相手方に対し、その支払又は引渡しを自己に対してすることを求めることができる。この場合において、相手方が債権者に対してその支払又は引渡しをしたときは、被代位権利は、これによって消滅する。』

4✖ 民法第423条の五(債務者の取立てその他の処分の権限等)

『債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない。この場合においては、相手方も、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない。』

5〇 民法第423条の五(債務者の取立てその他の処分の権限等)


【民法(改正対応)】↓

第423条(債権者代位権の要件)
債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。
2 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。
3 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、被代位権利を行使することができない。

第423条の三(債権者への支払又は引渡し)
債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とするものであるときは、相手方に対し、その支払又は引渡しを自己に対してすることを求めることができる。この場合において、相手方が債権者に対してその支払又は引渡しをしたときは、被代位権利は、これによって消滅する。

第423条の五(債務者の取立てその他の処分の権限等)
債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない。この場合においては、相手方も、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない。