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大分行政書士事務所 相続による農地は農業委員会の許可がいるのか。農地引渡請求事件

相続による農地は農業委員会の許可が必要ですか。

A 農業委員会の許可は不要です。相続による移転自体は農地法上の権利移転の制限を受けません。また,相続放棄した者が相続財産である農地を取得した場合は判例上許可がいります(最判昭和37・5・29 民集16巻5号1204頁)包括遺贈の場合は,許可は要りません。特定遺贈の場合は許可が要ります。


【昭和37年5月29日,最高裁判所第3小法廷】農地引渡請求事件

【判事事項】

一 家事調停による農地の所有権移転と知事の許可の要否

二 相続人らからの相続放棄者に対する家事調停による農地贈与と農地法第3条第1項但書第7号


【裁判要旨】

一 家事調停による農地の所有権移転については、知事の許可を要する。

二 遺産分割の家事調停において、相続人らから利害関係人たる相続放棄者に対して農地を贈与する旨の調停条項が成立したとしても、右条項による権利移転は、農地法第3条第1項但書第7号所定の遺産分割による場合に当らない。

『 原判決は、本件贈与による被上告人の農地所有権取得はその実質を視れば、一旦なした被上告人の相続放棄が撤回されて遺産分割によつて右権利取得を生じた場合と少しも異らないとして、農地法3条1項但書7号の規定の趣旨に準じ、これに県知事の許可を要せずと判示しているが、民法919条1項の規定に照し、一度受理された相続放棄の撤回は許されないことに鑑み、原審の右判断は首肯し難く、又原判決は、本件家事調停による農地の所有権移転は農地法3条1項但書5号所定の民事調停法による農事調停によつた場合とその実質を異にしないから、本件権利移転には県知事の許可を必要としないとした第一審判決の理由説示をも是認引用しているが、家事調停と農事調停とは制度を異にし、家事調停による農地の権利移転を農事調停による場合と同視することはできないから、右原審判断も支持できない。よつて、原判決が前示の如き判断を前提としたため、本件農地の所有権移転について県知事の許可の有無を認定判示することなく直ちにこれを有効と判断している点に審理不尽理由不備の違法あるものというべく、論旨は結局理由があるから、原判決は破棄を免れない。』


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