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令和5年行政書士試験過去問 民法 契約の解除等

【令和5年行政書士試験出題】

【問題】契約の解除等に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア 使用貸借契約においては、期間や使用収益の目的を定めているか否かにかかわらず、借主は、いつでも契約の解除をすることができる。

イ 賃貸借契約は、期間の定めがある場合であっても、賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなったときには、当該賃貸借契約は終了する。

ウ 請負契約においては、請負人が仕事を完成しているか否かにかかわらず、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

エ 委任契約は、委任者であると受任者であるとにかかわらず、いつでも契約の解除をすることができる。

オ 寄託契約においては、寄託物を受け取るべき時期を経過しても寄託者が受寄者に寄託物を引き渡さない場合には、書面による寄託でも無報酬の受寄者は、直ちに契約の解除をすることができる。


1 ア・イ

2 ア・エ

3 イ・ウ

4 ウ・オ

5 エ・オ


【試験ポイント】✨

ア〇 民法598条3項(使用貸借の解除),使用貸借の改正に至る経緯の記事は,こちら
イ〇 民法616条の二(賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了)
ウ✖ 民法641条(注文者による契約の解除)『請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。』したがって,「請負人が仕事を完成しているか否かにかかわらず、」が間違い。
エ〇 民法651条(委任の解除),民法(債権関係)の改正に関する検討事項の記事は,こちら
オ✖ 第657条の二(寄託物受取り前の寄託者による寄託の解除等)3項『受寄者(無報酬で寄託を受けた場合にあっては、書面による寄託の受寄者に限る。)は、寄託物を受け取るべき時期を経過したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合において、相当の期間を定めてその引渡しの催告をし、その期間内に引渡しがないときは、契約の解除をすることができる。』,したがって「直ちに」が間違い。
1項は「寄託者」による解除!2項,3項は「受寄者」による解除!と押さえましょう。
1 受託者は,物の交付をする前は,いつでも契約を解除できる!
2 書面による寄託の場合を除き,無報酬の受寄者は,物の交付を受ける前は,いつでも契約を解除できる!
3 報酬を得る受寄者と書面による寄託の無報酬の受寄者は,寄託者が物の引渡しの催告を受けても物の引渡しをしないときは契約を解除できる!記事は,こちら


【民法(改正対応)】↓

第598条(使用貸借の解除)
貸主は、前条第2項に規定する場合において、同項の目的に従い借主が使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、契約の解除をすることができる。
2 当事者が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも契約の解除をすることができる。
3 借主は、いつでも契約の解除をすることができる。

第616条の二(賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了)
賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する。

第641条(注文者による契約の解除)
請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

第651条(委任の解除)
委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

第657条の二(寄託物受取り前の寄託者による寄託の解除等)
寄託者は、受寄者が寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、受寄者は、その契約の解除によって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。
2 無報酬の受寄者は、寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による寄託については、この限りでない。
3 受寄者(無報酬で寄託を受けた場合にあっては、書面による寄託の受寄者に限る。)は、寄託物を受け取るべき時期を経過したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合において、相当の期間を定めてその引渡しの催告をし、その期間内に引渡しがないときは、契約の解除をすることができる。