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公務員試験・行政書士試験民法改正【第598条(使用貸借の解除)】

【新民法(改正後)】

第598条(使用貸借の解除)
貸主は、前条第2項に規定する場合において、同項の目的に従い借主が使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、契約の解除をすることができる。
2 当事者が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも契約の解除をすることができる。
3 借主は、いつでも契約の解除をすることができる。


民法(債権関係)の改正に関する検討事項(11) 詳細版,こちら
民法(債権関係)の改正に関する中間試案のたたき台(5)(概要付き),こちら


【改正に至る経緯】↓

『現行法上の終了事由
民法第597条は,使用貸借の目的物返還に関して,①契約で返還時期を定めた場合にはその時期に(同条第1項),②契約で返還時期を定めなかったが使用収益の目的を定めた場合には,その目的に従い借主が使用収益を終えた時期に(同条第2項本文),それぞれ借主は目的物を返還しなければならないとする。また,使用貸借の貸主は,③契約で返還時期を定めなかったが使用収益の目的を定めた場合において,その目的に従い使用収益をするのに足りる期間を経過したとき(同条第2項ただし書)や,④契約で返還時期も使用収益の目的も定めなかった場合にはいつでも(同条3項),目的物の返還を請求することができるとされている。
これらの規定では,いずれも目的物の返還に焦点が当てられているが,目的物を返還しなければならないのは使用貸借関係が終了した時であるという観点からの分かりやすい整理として,①②は使用貸借の存続期間を定めるものに改め,③④は貸主の解除権を定めるものに改めるべきであるとの考え方が示されているが,どのように考えるか。
2 新たな終了事由
使用貸借の無償性に照らして,特段の事情がある場合における使用貸借の終了事由を新たに追加すべきであるとの提案がされている(参考資料1[検討委員会試案]・337頁)。 第1に,貸主にとっての目的物の必要性を理由とする解除権を設けるべきであるとの考え方がある。具体的には,貸主にとって予期できない目的物の必要性が生じたことや,その必要性が借主の利用状況等に照らして使用貸借の終了を正当化するに足りるものであることを要件とするという考え方である。第2に,当事者間の信頼関係が失われたことを理由とする解除権を設けるべきであるとの考え方がある。無償で使用させる契約の背後には貸主と借主との間に特殊な関係があるとされていることから,このような使用貸借の基礎となる当事者間の信頼関係が失われ,使用貸借を継続することが困難となったときに,貸主の解除権を認めるべきであるという考え方である。この考え方については,贈与において示されている受贈者の背信行為や忘恩行為等を理由とする撤回・解除の規定を設けるという提案(部会資料15-2「第6,7(1)背信行為,忘恩行為等を理由とする撤回・解除」)との関係に留意する必要がある。 以上のような考え方について,どのように考えるか。』