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大分行政書士民法改正研修 令和3年新設【第262条の3(所在等不明共有者の持分の譲渡)】

【新民法(改正後)】【令和3年4月21日成立,同月28日公布】

第262条の3 (所在等不明共有者の持分の譲渡)
不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(以下この条において「所在等不明共有者」という。)以外の共有者の全員が特定の者に対してその有する持分の全部を譲渡することを停止条件として所在等不明共有者の持分を当該特定の者に譲渡する権限を付与する旨の裁判をすることができる。
2 所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合(共同相続人間で遺産の分割をすべき場合に限る。)において、相続開始の時から10年を経過していないときは、裁判所は、前項の裁判をすることができない。
3 第1項の裁判により付与された権限に基づき共有者が所在等不明共有者の持分を第三者に譲渡したときは、所在等不明共有者は、当該譲渡をした共有者に対し、不動産の時価相当額を所在等不明共有者の持分に応じて按分して得た額の支払を請求することができる。
4 前3項の規定は、不動産の使用又は収益をする権利(所有権を除く。)が数人の共有に属する場合について準用する。


【ポイント】🌸出典法務省「民法の改正の主な改正項目」

条文を理解するポイントとして,
※ 裁判所の決定によって,申立てをした共有者に,所在等不明共有者の不動産の持分を譲渡する権限を付与する制度を創設
※ 譲渡権限は所在等不明共有者以外の共有者全員が持分の全部を譲渡することを停止条件とするものであり,不動産全体を特定の第三者に譲渡するケースでのみ行使可能(一部の共有者が持分の譲渡を拒む場合には条件が成就せず譲渡することができない)
※ 所在等不明共有者の持分は直接譲渡の相手が移転(申立てをした共有者がいったん取得するものではない)
※ 遺産共有のケースでは相続開始から10年を経過しなければ利用不可。
※ 不動産の譲渡には,裁判を得た上で別途裁判外での売買契約等の譲渡行為が必要。譲渡行為には裁判の効力発生時(即時抗告期間の経過などにより裁判が確定した時)から原則2カ月以内にしなければならない。