2009年2月「行政書士試験コメント」
受験生の皆さん,こんにちわ!早速ですが,本試験までのスケジュール表は作成致しましたか。「継続は力成り」です。これに勝る物はないと思います。とにかく行政書士になった時のイメージで頑張りましょう!さて,本題に入りますが「守秘義務」という言葉聞いたことがあると思います。そこで,今月は皆さんが行政書士になられた時に科せられる(秘密を守る義務)についてお話をしたいと思います。
行政書士法12条(秘密を守る義務)
第12条 行政書士は,正当な理由がなく,その業務上取り扱つた事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。行政書士でなくなつた後も,また同様とする。
ここで正当な理由とは,どのようなものでしょうか。法学博士兼子仁教授「行政書士法コンメンタール」によると,個人秘密と法人団体秘密に分けられ,特に個人情報については法律の一般規定に基づく照会であっても必要最低限にすべきものと解されている(99頁引用)。法律の一般規定に基づく照会とは,犯罪捜査照会や弁護士法23条2等々。
弁護士法23条の2(報告の請求)
第23条の二 弁護士は,受任している事件について,所属弁護士会に対し,公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において,当該弁護士会は,その申出が適当でないと認めるときは,これを拒絶することができる。
2.弁護士会は,前項の規定による申出に基き,公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
平成13年2月28日佐々木秀典議員提出弁護士法第22条の2に基づく照会に関する質問に対する政府答弁書の見解は(一部抜粋)
なお,個別の事例において,秘密に該当する事項を開示することが正当視されるような特段の事由が認められるか否かを地方公共団体が判断するためには,弁護士会の照会の中で,照会に応じた報告を受けることによって得られる公共的な利益の内容がそれぞれの事例に即して具体的に明らかにされていることが必要であると考える。
合格された行政書士のみなさん,兼子仁先生のコンメンタールは行政書士業務には必須ですよ!
行政書士法コンメンタール 新11版 単行本
著者について 東京都立大学名誉教授 行政法学専攻 1935年:東京生まれ 1957年:東京大学法学部卒業、助手就任 1960年:東京都立大学講師 1965年:東京大学法学博士(新制論文) 1975年:東京都立大学法学部教授 1994~7年:日本学術会議会員 1998年:東京都立大学定年退職、名誉教授 2000~4年:行政書士試験委員長 2001~7年:川崎市市民オンブズマン就任 主著:自治体行政法入門〈法務研修・学習テキスト〉(2011年改訂版、北樹出版)地方公務員法〈同上〉(2006年初刷、北樹出版)、自治体・住民の法律入門(岩波新書、2001年初刷)、変革期の地方自治(岩波新書、2012年初刷)、政策法務の新しい実務Q&A(2017年、第一法規)、地域自治の行政法(2017年、北樹出版)他