Q 遺留分のない法定相続人には,財産目録を交付しなくてよいのか
Q
遺言執行者から,遺留分のない法定相続人(兄弟姉妹)には財産目録を交付しなくてよいと言われたのですが,本当でしょうか。
A 結論は,交付すべきです!その理由は,遺言の無効が争われる場合もあるし,遺言執行者の管理すべき財産の範囲を明らかにするという観点からです!因みに,遺留分権利者は兄弟姉妹以外の法定相続人です!
遺留分(いりゅうぶん)とは,簡単に説明すると兄弟姉妹以外の相続人に対しての最低限度の取り分です!相続法改正により,「遺留分減殺請求権(平成30年相続法改正前)」から「遺留分侵害額請求権」に名称変更。そして,重要なのが遺留分侵害額に相当する金銭債権が発生することとなった。要は金銭債権化。
【新民法(改正対応)】↓
第1011条(相続財産の目録の作成)
遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2 遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。
第1042条(遺留分の帰属及びその割合)
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第1項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 3分の1
二 前号に掲げる場合以外の場合 2分の1
2 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第900条及び第901条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。