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行政書士試験過去問解説 憲法上論議

【平成30年行政書士試験出題】

【問題6】デモクラシーの刷新を綱領に掲げる政党Xは、衆議院議員選挙の際の選挙公約として、次のア〜エのような内容を含む公職選挙法改正を提案した。


ア 有権者の投票を容易にするために、自宅からインターネットで投票できる仕組みを導入する。家族や友人とお茶の間で話し合いながら同じ端末から投票することもでき、身近な人々の間での政治的な議論が活性化することが期待される。

イ 有権者の投票率を高めるため、選挙期間中はいつでも投票できるようにするとともに、それでも3回続けて棄権した有権者には罰則を科するようにする。

ウ 過疎に苦しむ地方の利害をより強く国政に代表させるため、参議院が都道府県代表としての性格をもつことを明文で定める。

エ 地方自治と国民主権を有機的に連動させるため、都道府県の知事や議会議長が自動的に参議院議員となり、国会で地方の立場を主張できるようにする。


この提案はいくつか憲法上論議となり得る点を含んでいる。以下の諸原則のうち、この提案による抵触が問題となり得ないものはどれか。


1 普通選挙

2 直接選挙

3 自由選挙

4 平等選挙

5 秘密選挙


【攻略ポイント】✨

選挙を題材とした問題です。難しく考える必要はなく,身近な選挙で考えよう!例えば,「家族や友人とお茶の間で話し合いながら同じ端末から投票」は【秘密選挙】に抵触し,「棄権した有権者には罰則を科する」場合は,【自由選挙】に抵触し,「参議院が都道府県代表としての性格をもつことを明文で定める」ことは,【平等選挙】に抵触し,「都道府県の知事や議会議長が自動的に参議院議員になること」は,【直接選挙】に抵触します!みたいな感じ😊


ア 選択肢5の秘密選挙と抵触,憲法15条4項

イ 選択肢3の自由選挙と抵触,「棄権した有権者には罰則を科する」部分

ウ 選択肢4の平等選挙に抵触

エ 選択肢2の直接選挙に抵触 憲法93条2項


供託物が没収される得票数

衆議院小選挙区
供託額(300万)
【有効投票総数×1/10未満】

衆議院比例代表
供託額 候補者1名につき600万円
※ 候補者が重複立候補者である場合は,比例代表の供託額は300万円
【没収額=供託額ー(300万円×重複立候補者のうち小選挙区の当選者数+600万円×比例代表の当選者数×2)】

参議院比例代表
供託額 候補者1名につき600万円
【没収額=供託額ー600万円×比例代表の当選者数×2】

参議院選挙区
供託額300万円
【有効投票総数÷その選挙区の議員定数×1/8未満】

都道府県知事
供託額300万円
【有効投票総数×1/10未満】

都道府県議会
供託額60万円
【有効投票総数÷その選挙区の議員定数×1/10未満】

指定都市の長
供託額240万円
【有効投票総数×1/10未満】

指定都市議会
供託額50万円
【有効投票総数÷その選挙区の議員定数×1/10未満】

その他の市区の長 
供託額100万円
【有効投票総数×1/10未満】

その他の市区の議会
供託額30万円
【有効投票総数÷その選挙区の議員定数×1/10未満】

町村長
供託額50万円
【有効投票総数×1/10未満】

町村議会
供託額15万円
【有効投票総数÷その選挙区の議員定数×1/10未満】


詳しくは,こちら


【憲法】↓

第15条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
② すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
③ 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
④ すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

第93条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
② 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。