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行政書士過去問 株式会社の設立における出資の履行等

【令和元年行政書士試験出題】

【問題】株式会社の設立における出資の履行等に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。

ア 株式会社の定款には、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額を記載または記録しなければならない。

イ 発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、出資の履行をしなければならないが、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定または移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることができる。

ウ 発起人が出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。

エ 設立時募集株式の引受人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、出資の履行をしていない引受人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知しなければならない。

オ 設立時募集株式の引受人が金銭以外の財産により出資の履行をする場合には、発起人は、裁判所に対し検査役の選任の申立てをしなければならない。

1 ア・イ

2 ア・オ

3 イ・ウ

4 ウ・エ

5 エ・オ


【試験ポイント】✨

株式会社設立には,「発起設立」と「募集設立」があることに注意!(会社法25条)。そして,発起人が設立時発効株式の全部を引き受ける「発起設立」,発起人が一部を引き受け,残部を募集する方法を「募集設立」

ア〇 会社法27条(定款の記載又は記録事項)4号

イ〇 会社法34条(出資の履行)1項

ウ〇 会社法35条(設立時発行株式の株主となる権利の譲渡)

エ✖ 会社法第63条(設立時募集株式の払込金額の払込み)3項『設立時募集株式の引受人は、第1項の規定による払込みをしないときは、当該払込みをすることにより設立時募集株式の株主となる権利を失う。』

オ✖ 会社法第63条(設立時募集株式の払込金額の払込み)1項


【会社法(改正対応)】↓

第25条 株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。
一 次節から第八節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式をいう。以下同じ。)の全部を引き受ける方法
二 次節、第三節、第39条及び第六節から第九節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法
2 各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。

第27条(定款の記載又は記録事項)
株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五 発起人の氏名又は名称及び住所

第34条(出資の履行)
発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることを妨げない。
2 前項の規定による払込みは、発起人が定めた銀行等(銀行(銀行法(昭和56年法律第59号)第2条第1項に規定する銀行をいう。第703条第1号において同じ。)、信託会社(信託業法(平成16年法律第154号)第2条第2項に規定する信託会社をいう。以下同じ。)その他これに準ずるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の払込みの取扱いの場所においてしなければならない。

第35条(設立時発行株式の株主となる権利の譲渡)
前条第1項の規定による払込み又は給付(以下この章において「出資の履行」という。)をすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。

第58条(設立時募集株式に関する事項の決定)
発起人は、前条第1項の募集をしようとするときは、その都度、設立時募集株式(同項の募集に応じて設立時発行株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる設立時発行株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
一 設立時募集株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、その種類及び種類ごとの数。以下この款において同じ。)
二 設立時募集株式の払込金額(設立時募集株式一株と引換えに払い込む金銭の額をいう。以下この款において同じ。)
三 設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日又はその期間
四 一定の日までに設立の登記がされない場合において、設立時募集株式の引受けの取消しをすることができることとするときは、その旨及びその一定の日
2 発起人は、前項各号に掲げる事項を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
3 設立時募集株式の払込金額その他の前条第1項の募集の条件は、当該募集(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、種類及び当該募集)ごとに、均等に定めなければならない。

第63条(設立時募集株式の払込金額の払込み)
設立時募集株式の引受人は、第58条第1項第3号の期日又は同号の期間内に、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの設立時募集株式の払込金額の全額の払込みを行わなければならない。
2 前項の規定による払込みをすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。
3 設立時募集株式の引受人は、第1項の規定による払込みをしないときは、当該払込みをすることにより設立時募集株式の株主となる権利を失う。