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行政書士試験過去問 道路用地の収用に係る損失補償

【平成30年行政書士試験出題】

【問題】道路用地の収用に係る損失補償に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 土地を収用することによって土地所有者が受ける損失は、当該道路を設置する起業者に代わり、収用裁決を行った収用委員会が所属する都道府県がこれを補償しなければならない。

2 収用対象となる土地が当該道路に関する都市計画決定によって建築制限を受けている場合、当該土地の権利に対する補償の額は、近傍において同様の建築制限を受けている類地の取引価格を考慮して算定した価格に物価変動に応ずる修正率を乗じて得た額となる。

3 収用対象の土地で商店が営まれている場合、商店の建築物の移転に要する費用は補償の対象となるが、その移転に伴う営業上の損失は補償の対象とはならない。

4 収用対象とはなっていない土地について、隣地の収用によって必要となった盛土・切土に要する費用は損失補償の対象になるが、それにより通路・溝等の工作物が必要となったときは、当該工作物の新築に係る費用は補償の対象とはならない。

5 収用対象の土地の所有者が収用委員会による裁決について不服を有する場合であって、不服の内容が損失の補償に関するものであるときは、土地所有者が提起すべき訴訟は当事者訴訟になる。


【土地収用法(改正対応)】↓

第68条(損失を補償すべき者)
土地を収用し、又は使用することに因つて土地所有者及び関係人が受ける損失は、起業者が補償しなければならない

第71条(土地等に対する補償金の額)
収用する土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額は、近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業の認定の告示の時における相当な価格に、権利取得裁決の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額とする。

第72条 前条の規定は、使用する土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額について準用する。この場合において、同条中「近傍類地の取引価格」とあるのは、「その土地及び近傍類地の地代及び借賃」と読み替えるものとする。

第73条(その他の補償額算定の時期)
この節に別段の定めがある場合を除くの外、損失の補償は、明渡裁決の時の価格によつて算定してしなければならない。

第74条(残地補償)
同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用し、又は使用することに因つて、残地の価格が減じ、その他残地に関して損失が生ずるときは、その損失を補償しなければならない。
2 前項の規定による残地又は残地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額については、第71条及び第72条の例による。

第75条(工事の費用の補償)
同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用し、又は使用することに因つて、残地に通路、みぞ、かき、さくその他の工作物の新築、改築、増築若しくは修繕又は盛土若しくは切土をする必要が生ずるときは、これに要する費用を補償しなければならない。

第88条(通常受ける損失の補償)
第71条、第72条、第74条、第75条、第77条、第80条及び第80条の二に規定する損失の補償の外、離作料、営業上の損失、建物の移転による賃貸料の損失その他土地を収用し、又は使用することに因つて土地所有者又は関係人が通常受ける損失は、補償しなければならない。

第133条(訴訟)
収用委員会の裁決に関する訴え(次項及び第3項に規定する損失の補償に関する訴えを除く。)は、裁決書の正本の送達を受けた日から3月の不変期間内に提起しなければならない。
2 収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えは、裁決書の正本の送達を受けた日から6月以内に提起しなければならない。
3 前項の規定による訴えは、これを提起した者が起業者であるときは土地所有者又は関係人を、土地所有者又は関係人であるときは起業者を、それぞれ被告としなければならない。


【試験ポイント】✨
1✖ 土地収用法68条『起業者が補償しなければならない。』
2✖【昭和48年10月18日,最高裁判所第1小法廷,土地収用補償金請求】,判例は,こちら
3✖ 土地収用法88条『損失の補償の外、離作料、営業上の損失、建物の移転による賃貸料の損失その他土地を収用し、又は使用することに因つて土地所有者又は関係人が通常受ける損失は、補償しなければならない。』
4✖ 土地収用法75条
5〇 土地収用法133条2・3項