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行政書士試験過去問 行政手続法 理由の提示

【令和3年行政書士試験出題】

【問題】理由の提示に関する次の記述のうち、行政手続法の規定または最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

1 行政庁は、申請により求められた許認可等の処分をする場合、当該申請をした者以外の当該処分につき利害関係を有するものと認められる者から請求があったときは、当該処分の理由を示さなければならない。

2 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合でも、当該申請が法令に定められた形式上の要件に適合しないことを理由とするときは、申請者に対して当該処分の理由を示す必要はない。

3 行政庁は、理由を示さないで不利益処分をすべき差し迫った必要がある場合であれば、処分と同時にその理由を示す必要はなく、それが困難である場合を除き、当該処分後の相当の期間内にこれを示せば足りる。

4 公文書の非開示決定に付記すべき理由については、当該公文書の内容を秘匿する必要があるため、非開示の根拠規定を示すだけで足りる。

5 旅券法に基づく一般旅券の発給拒否通知書に付記すべき理由については、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して拒否されたかに関し、その申請者が事前に了知しうる事情の下であれば、単に発給拒否の根拠規定を示すだけで足りる。


【平成4年12月10日,最高裁判所第1小法廷, 警視庁情報非開示決定処分取消】

【判事事項】

東京都公文書の開示等に関する条例7条に基づいてされた公文書の非開示決定が理由付記の要件を欠き違法であるとされた事例


【裁判要旨】

東京都公文書の開示等に関する条例5条に基づき「個人情報実態調査に関して警視庁から入手、取得した一切の文書」の開示の請求をした者に対する非開示決定の通知書に、非開示の理由として、「東京都公文書の開示等に関する条例第9条第8号に該当」と記載されているにすぎないときは、右決定は、同条例7条4項の定める理由付記の要件を欠き、違法である。


【行政手続法(改正対応)】↓

第8条(理由の提示)
行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。
2 前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。

第14条(不利益処分の理由の提示)
行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
2 行政庁は、前項ただし書の場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。
3 不利益処分を書面でするときは、前2項の理由は、書面により示さなければならない。


【試験ポイント】✨

1✖ 「当該申請をした者以外の当該処分につき利害関係を有するもの」が明らかに間違いで,このような条文はありません。
2✖ 行政手続法8条1項
3〇 行政手続法14条1項,2項
4✖【平成4年12月10日,最高裁判所第1小法廷, 警視庁情報非開示決定処分取消】
5✖  一般旅券発給拒否処分取消等の記事は,こちら