業務・試験対策

MEASURES

行政書士試験過去問 商法 営業譲渡

【令和4年行政書士試験出題】

【問題】営業譲渡に関する次の記述のうち、商法の規定に照らし、正しいものはどれか。なお、営業を譲渡した商人を甲、営業を譲り受けた商人を乙とし、甲および乙は小商人ではないものとする。

1 甲が営業とともにその商号を乙に譲渡する場合には、乙が商号の登記をしなければその効力は生じない。

2 乙が甲の商号を引き続き使用する場合には、乙は、甲の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う。ただし、営業譲渡後、遅滞なく、乙が第三者である丙に対して、甲の債務を弁済する責任を負わない旨の通知をした場合には、乙は、 丙に対して弁済責任を負わない。

3 乙が甲の商号を引き続き使用する場合に、甲の営業によって生じた債権について、債務者である丙が乙に対して行った弁済は、丙の過失の有無を問わず、丙が善意であるときに、その効力を有する。

4 乙が甲の商号を引き続き使用しない場合において、乙が甲の営業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、甲の弁済責任が消滅するため、甲の債権者である丙は、乙に対して弁済の請求をしなければならない。

5 甲および乙が、乙に承継されない債務の債権者(残存債権者)である丙を害することを知りながら、無償で営業を譲渡した場合には、丙は、乙に対して、甲から承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。


【試験ポイント】✨

1✖ 商法15条1項,2項『登記をしなければ、第三者に対抗することができない。』であって,『商号の登記をしなければその効力は生じない。』が間違い。

2✖ 商法17条2項『譲受人及び譲渡人から第三者に対しその旨の通知をした場合』,すなわち「譲受人乙」「譲渡人甲」の両方!

3✖ 商法17条4項『弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。』したがって,『丙の過失の有無を問わず、』が間違い。

4✖ 商法18条1項・2項『広告があった日後2年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。』,したがって『甲の弁済責任が消滅するため』が間違い。

5〇 商法第18条の二(詐害営業譲渡に係る譲受人に対する債務の履行の請求)


【商法(改正対応)】↓

第14条(自己の商号の使用を他人に許諾した商人の責任)
自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。


第15条(商号の譲渡)
商人の商号は、営業とともにする場合又は営業を廃止する場合に限り、譲渡することができる。
2 前項の規定による商号の譲渡は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

第17条(譲渡人の商号を使用した譲受人の責任等)
営業を譲り受けた商人(以下この章において「譲受人」という。)が譲渡人の商号を引き続き使用する場合には、その譲受人も、譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
2 前項の規定は、営業を譲渡した後、遅滞なく、譲受人が譲渡人の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。営業を譲渡した後、遅滞なく、譲受人及び譲渡人から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。
3 譲受人が第一項の規定により譲渡人の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡人の責任は、営業を譲渡した日後2年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
4 第1項に規定する場合において、譲渡人の営業によって生じた債権について、その譲受人にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。

第18条(譲受人による債務の引受け)
譲受人が譲渡人の商号を引き続き使用しない場合においても、譲渡人の営業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡人の債権者は、その譲受人に対して弁済の請求をすることができる。
2 譲受人が前項の規定により譲渡人の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡人の責任は、同項の広告があった日後2年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。

第18条の二(詐害営業譲渡に係る譲受人に対する債務の履行の請求)
譲渡人が譲受人に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って営業を譲渡した場合には、残存債権者は、その譲受人に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。ただし、その譲受人が営業の譲渡の効力が生じた時において残存債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
2 譲受人が前項の規定により同項の債務を履行する責任を負う場合には、当該責任は、譲渡人が残存債権者を害することを知って営業を譲渡したことを知った時から2年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。営業の譲渡の効力が生じた日から10年を経過したときも、同様とする。
3 譲渡人について破産手続開始の決定又は再生手続開始の決定があったときは、残存債権者は、譲受人に対して第1項の規定による請求をする権利を行使することができない。