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経験者採用試験係長級(事務)国税調査官 過去問 解説

【2020年経験者採用国税過去問】

【問題】我が国の労働三権に関する記述として最も妥当なのはどれか。


1.労働三権とは,団結権,団体交渉権及び団体行動権(争議権)の三権を指す。第二次世界大戦後,労働者の権利を過度に強化することを懸念した占領期の連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の指令により,労働三権を憲法において明文で保障することは見送られたが,劣悪な労働条件等に対する労働者の反発が次第に高まったため,労働組合法,労働関係調整法及び労働基準法の労働三法が制定され,これらの法律によって労働三権が労働者に保障されるようになった。

2.労働組合法は,労働者が労働組合に加入したことや労働組合を結成しようとしたことを理由に使用者がその労働者に対して不利益な取扱いをすることや,労働者の代表者との団体交渉を使用者が正当な理由なく拒むことを不当労働行為として禁止するとともに,労働者が労働委員会に対して不当労働行為の申立てを行ったことを理由にその労働者に対して不利益な取扱いすることも禁止している。

3.団体行動権(争議権)を実質的に保障するため,労働組合は,ストライキなどの正当な争議行為を行った場合,民事上の責任が免除されるが,この場合においても,刑事罰の適正な行使という観点から,刑事上の責任は免除されない。また,労使間の紛争がストライキに発展することを防ぐため,労働委員会が斡旋・調停・仲裁などによって調整を図ることがあるが,これらの手続に関与する労働委員会の委員は,その中立性を保つため,公益委員に限定されている。

4.労働組合は使用者と労使交渉を行い,労働条件について労働協約を締結することができるが,賃金や労働時間は,労働基準法により定められており労働協約の対象事項とはならない。また,労働組合に所属していない労働者がいる場合,その者の意思に反して労働条件を決定することはできないため,労働協約が締結されたとしても,その者に当該労働協約が適用されることはない。

5.公務員の労働三権は,国家公務員法及び地方公務員法などにより一定の制約が加えられている。例えば,自衛官や刑務官は,その職務の性質から,団結権のみが保障されており,団体交渉権及び団体行動権(争議権)は認められていない。一方,地方公務員は,自衛官や刑務官が行うような性質の職務が存在しないため,全ての職種において,団体行動権(争議権)は認められないものの,団結権及び団体交渉権が認められている。


【試験ポイント】✨

1✖ マッカーサーの五大改革指令【① 婦人参政権の付与,② 労働組合の結成奨励,③ 教育の自由主義化,④ 秘密警察の廃止 ⑤ 経済の民主化,第44代内閣総理大臣(幣原喜重郎)】

2〇 労働組合法7条1号~4号

3✖ 労働組合法1条2項

4✖ 労働組合法17条 一般的拘束力

5✖ 警察職員・消防職員・海上保安庁職員・自衛隊員・刑務所職員は,労働三権のすべてが適用されません。


一般職の地方・国家公務員の団体交渉権の記事はこちら


【日本史 占領機構】

連合国軍最高司令官総司令部(GHQ) 最高司令官マッカーサー元帥

極東委員会(FFC)占領政策決定最高機関,11か国,ワシントンに設置

対日理事会(ACJ)GHQの諮問機関(米・英・ソ・中),4か国,東京に設置


【労働組合法(改正対応)】↓

第1条(目的)
この法律は、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること、労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成することを目的とする。
2 刑法(明治40年法律第45号)第35条の規定は、労働組合の団体交渉その他の行為であつて前項に掲げる目的を達成するためにした正当なものについて適用があるものとする。但し、いかなる場合においても、暴力の行使は、労働組合の正当な行為と解釈されてはならない。

第7条(不当労働行為)
使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
一 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。
二 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。
三 労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。ただし、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、かつ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。
四 労働者が労働委員会に対し使用者がこの条の規定に違反した旨の申立てをしたこと若しくは中央労働委員会に対し第27条の12第1項の規定による命令に対する再審査の申立てをしたこと又は労働委員会がこれらの申立てに係る調査若しくは審問をし、若しくは当事者に和解を勧め、若しくは労働関係調整法(昭和21年法律第25号)による労働争議の調整をする場合に労働者が証拠を提示し、若しくは発言をしたことを理由として、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること。

第16条(基準の効力)
労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。この場合において無効となつた部分は、基準の定めるところによる。労働契約に定がない部分についても、同様とする。

第17条(一般的拘束力)
一の工場事業場に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至つたときは、当該工場事業場に使用される他の同種の労働者に関しても、当該労働協約が適用されるものとする。