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令和5年行政書士試験過去問解説 法人等 公益社団法人および公益財団法人

【令和5年行政書士試験出題】

【問題】法人等に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア いわゆる「権利能力なき社団」は、実質的には社団法人と同様の実態を有するが、法人格がないため、訴訟上の当事者能力は認められていない。

イ 法人は、営利法人と非営利法人に大別されるが、合名会社やそれと実質的に同様の実態を有する行政書士法人、弁護士法人および司法書士法人は非営利法人である。

ウ 一般社団法人および一般財団法人は、いずれも非営利法人であることから、一切の収益事業を行うことはできない。

エ 公益社団法人および公益財団法人とは、一般社団法人および一般財団法人のうち、学術、技芸、慈善その他の法令で定められた公益に関する種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与する事業を行うことを主たる目的とし、行政庁(内閣総理大臣または都道府県知事)から公益認定を受けた法人をいう。

オ 特定非営利活動法人(いわゆる「NPO法人」)とは、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする保健、医療または福祉の増進その他の法令で定められた特定の活動を行うことを主たる目的とし、所轄庁(都道府県の知事または指定都市の長)の認証を受けて設立された法人をいう。


1 ア・ウ

2 ア・エ

3 イ・ウ

4 イ・オ

5 エ・オ


【平成14年6月7日,最高裁判所第二小法廷,書類等閲覧等請求事件】

【判事事項】

預託金会員制のゴルフクラブが民訴法29条にいう「法人でない社団」に当たるとされた事例


【裁判要旨】

預託金会員制のゴルフクラブにおいて,多数決の原則が行われ,構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し,規約により代表の方法,総会の運営等が定められていること,同クラブには,固定資産又は基本的財産は存しないが,団体として内部的に運営され対外的にも活動するのに必要な収入の仕組みが確保され,かつ,規約に基づいて収支を管理する体制も備わっていること,同クラブが,ゴルフ場経営会社との間でゴルフ場の経営等に関する協約書を調印し,同会社や会員個人とは別個の独立した存在としての社会的実体を有していることなど判示の事情の下においては,上記クラブは,民訴法29条にいう「法人でない社団」に当たる。


【公益法人制度:出典内閣府】↓
従来の民法による公益法人制度では,法人設立の主務官庁制・許可制の下で,法人の設立と公益性の判断が一体となっていましたが,「民による公益の増進」を目的として,主務官庁制・許可主義を廃止し,法人の設立と公益性の判断を分離する公益法人制度改革関連三法が平成20年12月に施行。公益法人制度には社団と財団の法人類型があります。

【一般社団法人・一般財団法人:出典内閣府】↓
制度改革により創設された一般社団・財団法人は,剰余金の分配を目的としない社団又は財団について,その行う事業の公益性の有無にかかわらず,準則主義(登記)により簡便に法人格を取得できる一般的な法人制度。

【公益社団法人・公益財団法人:出典:内閣府】↓
一般社団・財団法人のうち,民間有識者からなる第三者委員会による公益性の審査(公益目的事業を行うことを主たる目的とすること等)を経て,行政庁(内閣府又は都道府県)から公益認定を受けることで,公益社団・財団法人として税制上の優遇措置を受けることができる。

【NPO法人制度:出典:内閣府】↓
特定非営利活動を行う社団類型の団体に法人格を付与すること等により,ボランティア活動をはじめとする市民の自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進することを目的として,特定非営利活動促進法が平成10年12月に施行。また,平成13年10月には,税制上の優遇措置が付与される認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)制度が創設。

ア✖ 当事者能力は認められている、民事訴訟法29条『法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。』,【平成14年6月7日,最高裁判所第二小法廷,書類等閲覧等請求事件】

イ✖ 行政書士法人,弁護士法人および司法書士法人は営利法人である。非営利法人の例:特定非営利活動法人(NPO法人),よく間違えるのが「収益を目的とする事業を行うこと自体は認められるが」,事業で得た収益は様々な社会貢献活動に充てることになる。

ウ✖ 一般社団法人と一般財団法人の違いの覚え方,

一般社団法人=人の集まり,

一般財団法人=財産の集まり

一般社団法人には,「営利型」と「非営利型」がある。

エ〇 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律2条・4条

オ〇 原文のまま 別表(第二条関係)。特定非営利活動促進法が平成10年12月に施行。平成13年10月には,税制上の優遇措置が付与される認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)制度が創設。

解答5


【民事訴訟法(改正対応)】↓

第29条(法人でない社団等の当事者能力)
法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。


【公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(改正対応)】↓

第2条(定義)
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 公益社団法人 第四条の認定を受けた一般社団法人をいう。
二 公益財団法人 第四条の認定を受けた一般財団法人をいう。
三 公益法人 公益社団法人又は公益財団法人をいう。
四 公益目的事業 学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいう。

第3条(行政庁)
この法律における行政庁は、次の各号に掲げる公益法人の区分に応じ、当該各号に定める内閣総理大臣又は都道府県知事とする。
 次に掲げる公益法人 内閣総理大臣
イ 二以上の都道府県の区域内に事務所を設置するもの
ロ 公益目的事業を二以上の都道府県の区域内において行う旨を定款で定めるもの
ハ 国の事務又は事業と密接な関連を有する公益目的事業であって政令で定めるものを行うもの
 前号に掲げる公益法人以外の公益法人 その事務所が所在する都道府県の知事

第二章 公益法人の認定等
第一節 公益法人の認定

第4条(公益認定)
公益目的事業を行う一般社団法人又は一般財団法人は、行政庁の認定を受けることができる。