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令和5年行政書士試験過去問ポイント 憲法 財政

【令和5年行政書士試験出題】

【問題】財政に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 国会が議決した予算の公布は、法律、政令、条約などの公布と同様に、憲法上、天皇の国事行為とされている。

2 国会による予算の修正をめぐっては、内閣の予算提出権を侵すので予算を増額する修正は許されないとする見解もあるが、現行法には、予算の増額修正を予想した規定が置かれている。

3 予算が成立したにもかかわらず、予算が予定する支出の根拠となる法律が制定されていないような場合、法律が可決されるまでの間、内閣は暫定的に予算を執行することができる。

4 皇室の費用はすべて、予算に計上して国会の議決を経なければならないが、皇室が財産を譲り受けたり、賜与したりするような場合には、国会の議決に基く必要はない。

5 国の収入支出の決算は、内閣が、毎年そのすべてについて国会の承認の議決を得たうえで、会計検査院に提出し、その審査を受けなければならない。


【試験ポイント】✨

平成29年度にも,通説の「予算法形式説(予算法規範説)」が出題されています。ポイントは,予算の法的性格として3つの学説があり「予算行政説」,「予算法律説,法律の一種とする見解」,「予算法形式説(予算法規範説),法律とは異なる独自の法形式であるとする見解」。日本のシステムは「予算法形式説(予算法規範説)」です。

1✖ 憲法7条1号 「予算の公布」は定められていない。

2〇 憲法87条1項,国会法57条1項

3✖ 「法律が可決されるまでの間、内閣は暫定的に予算を執行することができる。」が間違い。通説は【予算法規範説】である。

4✖ 憲法8条

5✖ 憲法90条1項


【憲法】↓

第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。

第8条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

第87条 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
② すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。

第88条 すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。

第90条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。② 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。


【国会法】↓

第57条 議案につき議院の会議で修正の動議を議題とするには、衆議院においては議員20人以上、参議院においては議員10人以上の賛成を要する。但し、法律案に対する修正の動議で、予算の増額を伴うもの又は予算を伴うこととなるものについては、衆議院においては議員50人以上、参議院においては議員20人以上の賛成を要する。

第57条の二 予算につき議院の会議で修正の動議を議題とするには、衆議院においては議員50人以上、参議院においては議員20人以上の賛成を要する。

第57条の三 各議院又は各議院の委員会は、予算総額の増額修正、委員会の提出若しくは議員の発議にかかる予算を伴う法律案又は法律案に対する修正で、予算の増額を伴うもの若しくは予算を伴うこととなるものについては、内閣に対して、意見を述べる機会を与えなければならない。