行政書士試験民法改正【第509条(不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)】出題判例
第509条(不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)
次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。ただし、その債権者がその債務に係る債権を他人から譲り受けたときは、この限りでない。
一 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務
二 人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務(前号に掲げるものを除く。)
【判事事項】
同一交通事故によつて生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間における相殺の許否
【裁判要旨】
双方の過失に基因する同一交通事故によつて生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間においても、相殺は許されない。
『民法509条の趣旨は、不法行為の被害者に現実の弁済によつて 損害の填補を受けさせること等にあるから、およそ不法行為による損害賠償債務を負担している者は、被害者に対する不法行為による損害賠償債権を有している場合であつても、被害者に対しその債権をもつて対当額につき相殺により右債務を免れることは許されないものと解するのが、相当である(最高裁昭和30年(オ)第199号同32年4月30日第3小法廷判決・民集11巻4号646頁参照。)。したがつて、本件のように双方の被用者の過失に基因する同一交通事故によつて生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間においても、民法509条の規定により相殺が許されないというべきである。』
ポイントは2号「不法行為に基づく損害賠償債権」「債務不履行に基づく損害賠償債権」にかかわらず,「人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務」を受働債権とする相殺を禁止することになったよ,だから条文の見出しが不法行為等に改正,「等」は役人が大好きなんですよ。上記判例よりは,下記の判例が過去の地方上級試験,国家公務員試験において頻繁に出題されています。【最判昭42・11・30】の記事については,こちら