令和6年行政書士試験解説 一般知識 日本における外国人
【判事事項】
1 地方公共団体が日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることと労働基準法3条,憲法14条1項
2 東京都が管理職に昇任するための資格要件として日本の国籍を有することを定めた措置が労働基準法3条,憲法14条1項に違反しないとされた事例
【裁判要旨】
1 地方公共団体が,公権力の行使に当たる行為を行うことなどを職務とする地方公務員の職とこれに昇任するのに必要な職務経験を積むために経るべき職とを包含する一体的な管理職の任用制度を構築した上で,日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは,労働基準法3条,憲法14条1項に違反しない。
2 東京都が管理職に昇任すれば公権力の行使に当たる行為を行うことなどを職務とする地方公務員に就任することがあることを当然の前提として任用管理を行う管理職の任用制度を設けていたなど判示の事情の下では,職員が管理職に昇任するための資格要件として日本の国籍を有することを定めた東京都の措置は,労働基準法3条,憲法14条1項に違反しない。
(1,2につき補足意見,意見及び反対意見がある。)
『地方公務員のうち,住民の権利義務を直接形成し,その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い,若しくは普通地方公共団体の重要な施策に 関する決定を行い,又はこれらに参画することを職務とするもの(以下「公権力行使等地方公務員」という。)については,次のように解するのが相当である。すなわち,公権力行使等地方公務員の職務の遂行は,住民の権利義務や法的地位の内容を定め,あるいはこれらに事実上大きな影響を及ぼすなど,住民の生活に直接間接 に重大なかかわりを有するものである。それゆえ,国民主権の原理に基づき,国及び普通地方公共団体による統治の在り方については日本国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきものであること(憲法1条,15条1項参照)に照らし, 原則として日本の国籍を有する者が公権力行使等地方公務員に就任することが想定されているとみるべきであり,我が国以外の国家に帰属し,その国家との間でその国民としての権利義務を有する外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは ,本来我が国の法体系の想定するところではないものというべきである。』
ア〇 原文のまま
イ✖ 医師は,特定技能以外の在留資格(医療)。また,出入国在留管理庁によると,令和5年度末,在留外国人数341万人,外国人労働者数は204万人。令和6年6月末在留外国人数358万人。国別(1位中国84万人,2位ベトナム60万人,3位韓国41万人)。覚え方として,「特定技能1号」と「特定技能2号」では,「特定技能2号」の方が熟練した技能を持つ外国人向けの在留資格!深刻化する人手不足への対応として,一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れるため,在留資格「特定技能1号」及び「特定技能2号」を創設(平成31年4月から実施)。令和6年3月29日閣議決定(対象分野に「自動車運送業」,「鉄道」,「林業」,「木材産業」4分野)が新たに追加。「工業製品製造業分野(旧名称『素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業』)」,「造船・舶用工業分野」,「飲食料品製造業分野」の3つの既存の分野については新たな業務が追加。
外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組は,こちら
ウ✖「公権力の行使又は公の意思の形成に参画する公務員については日本国籍を必要とする。」という公務員の基本原則,【平成17年1月26日,最高裁判所大法廷,管理職選考受験資格確認等請求事件】
エ〇 原文のまま
オ✖ 特別永住者は,対象外(特別永住者,16歳未満の者,「外交」又「公用」の在留資格に該当する活動を行おうとする者,国の行政機関の長が招へいする者等)