行政書士試験過去問民法 地役権 法定地上権
【地役権】
地役権とは,他人の土地を自己の土地の便益に供する権利。
【要役地】
要役地とは,便益を受けるほうの土地。
【承役地】
要役地のために使用される土地。
1 抵当権設定当時において建物が存在していること
2 抵当権設定当時において土地と建物の所有者が同一
3 土地と建物の一方又は双方に抵当権が設定されて競売の結果,別々の所有者に帰属
【判事事項】
土地及びその地上建物の所有者が土地につき所有権移転登記を経由しないまま建物に抵当権を設定した場合と法定地上権の成否
【裁判要旨】
土地及びその地上建物の所有者が建物につき抵当権を設定したときは、土地の所有権移転登記を経由していなくても、法定地上権の成立を妨げない。
【判事事項】
所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後に右建物が取り壊されて新建物が建築された場合の法定地上権の成否
【裁判要旨】
所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後右建物が取り壊され、右土地上に新たに建物が建築された場合には、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたなどの特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しない。
判例は,こちら
【試験ポイント】✨
ア✖ 民法280条(地役権の内容),「丙建物全部の収去」が間違い。
イ〇 原文のまま 地役権に基づく「妨害排除請求権」ないし「妨害予防請求権」は認められるが「引渡し請求権」は認められていない。
ウ✖ 民法第210条(公道に至るための他の土地の通行権):囲繞地(いにょうち)通行権
エ✖ 民法第388条(法定地上権)法定地上権の要件:抵当権設定当時に土地と建物の所有者が同一
オ〇 民法第269条(工作物等の収去等)
第210条(公道に至るための他の土地の通行権)
他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
2 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。
第269条(工作物等の収去等)
地上権者は、その権利が消滅した時に、土地を原状に復してその工作物及び竹木を収去することができる。ただし、土地の所有者が時価相当額を提供してこれを買い取る旨を通知したときは、地上権者は、正当な理由がなければ、これを拒むことができない。
2 前項の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
第280条(地役権の内容)
地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第3章第1節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。
第281条(地役権の付従性)
地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2 地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることができない。
第388条(法定地上権)
土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。