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行政書士試験過去問 全ての株式会社に共通する内容

【平成29年行政書士試験出題】

【問題】次の記述のうち、全ての株式会社に共通する内容として、会社法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。

ア 株主の責任の上限は、その有する株式の引受価額である。

イ 株主は、その有する株式を譲渡することができる。

ウ 募集株式の発行に係る募集事項は、株主総会の決議により決定する。

エ 株主総会は、その決議によって取締役を1人以上選任する。

オ 株式会社の最低資本金は、300万円である。

1 ア・イ

2 イ・ウ

3 ウ・エ

4 ウ・オ

5 エ・オ


【平成7年4月25日,最高裁判所第三小法廷,株券発行】

【判事事項】

いわゆる従業員持株制度に基づいて取得した株式を退職時に額面額で取締役会の指定する者に譲渡する旨の会社と従業員との合意が有効とされた事例


【裁判要旨】

定款で株式の譲渡制度を定めている会社において、いわゆる従業員持株制度に基づいて取得した株式を退職時に額面額で取締役会の指定する者に譲渡する旨の会社と従業員との間でされた合意は、従業員が、右制度の趣旨、内容を了解した上で株式を額面額で取得し、毎年8ないし30パーセントの割合による配当を受けていたなど判示の事実関係の下においては、商法204条1項に違反するものではなく、公序良俗にも反せず、有効である。


【試験ポイント】✨

ア〇 会社法104条(株主の責任)『株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする。』

イ〇 会社法127条(株式の譲渡)『株主は、その有する株式を譲渡することができる。』

ウ✖ 会社法第201条(公開会社における募集事項の決定の特則)1項『第199条第3項に規定する場合を除き、公開会社における同条第2項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。この場合においては、前条の規定は、適用しない。』

エ〇 第329条(選任)『役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第371条第4項及び第394条第3項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。』

オ✖ 2006年5月に施行された新会社法によって,最低資本金は撤廃。


【会社法(改正対応)】↓

第104条(株主の責任)
株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする。

第127条(株式の譲渡)
株主は、その有する株式を譲渡することができる。

第199条(募集事項の決定)
株式会社は、その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式(当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
一 募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び数。以下この節において同じ。)
二 募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。以下この節において同じ。)又はその算定方法
三 金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額
四 募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間
五 株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項
2 前項各号に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
3 第1項第2号の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、前項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
4 種類株式発行会社において、第1項第1号の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、当該種類の株式に関する募集事項の決定は、当該種類の株式を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
5 募集事項は、第1項の募集ごとに、均等に定めなければならない。

第201条(公開会社における募集事項の決定の特則)
第199条第3項に規定する場合を除き、公開会社における同条第2項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。この場合においては、前条の規定は、適用しない。
2 前項の規定により読み替えて適用する第199条第2項の取締役会の決議によって募集事項を定める場合において、市場価格のある株式を引き受ける者の募集をするときは、同条第1項第2号に掲げる事項に代えて、公正な価額による払込みを実現するために適当な払込金額の決定の方法を定めることができる。
3 公開会社は、第1項の規定により読み替えて適用する第199条第2項の取締役会の決議によって募集事項を定めたときは、同条第1項第4号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の2週間前までに、株主に対し、当該募集事項(前項の規定により払込金額の決定の方法を定めた場合にあっては、その方法を含む。以下この節において同じ。)を通知しなければならない。
4 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
5 第3項の規定は、株式会社が募集事項について同項に規定する期日の2週間前までに金融商品取引法第4条第1項から第3項までの届出をしている場合その他の株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。

第329条(選任)
役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第371条第4項及び第394条第3項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。
2 監査等委員会設置会社においては、前項の規定による取締役の選任は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別してしなければならない。
3 第1項の決議をする場合には、法務省令で定めるところにより、役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この項において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数を欠くこととなるときに備えて補欠の役員を選任することができる。