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Q 児童虐待から子どもを守るための民法の「親権制限制度」って何?

児童虐待から子どもを守るための民法の「親権制限制度」って何?

『法務省によると,以下のように説明されています。

1 第820条において,親権者は子の利益のために監護教育をすべきことを明示する一方で,不適当な親権行使等により子の利益を害するような場合には,親権が制限され得ることを親権喪失等の原因として明示することによって,親権が子の利益のために行使されるべきものであるという理念を確認しています。

2 必要に応じて適切に親権を制限することができるようにするために,

(1)2年以内の期間に限って親権を行うことができないようにする親権停止制度を創設したほか,

(2)子の親族及び検察官のほか,子,未成年後見人及び未成年後見監督人も,家庭裁判所に対し,親権喪失等の審判の請求をすることができるようにしています。

3 父又は母の親権が制限された結果,親権を行う者がいなくなり,未成年後見が開始した場合等において,子の安定的な監護を図るために,複数又は法人の未成年後見人を選任することを可能にしています。

4 第766条の離婚後の子の監護に関する事項として面会及びその他の交流並びに監護費用(養育費)の分担を明示するとともに,これらを定めるに当たっては子の利益を最も優先して考慮すべきことを明記するなどの改正をしています。法務省https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00116.html』


【民法(改正対応)】↓

第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4 前3項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。

第820条(監護及び教育の権利義務)
親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

第3節 親権の喪失
第834条(親権喪失の審判)
父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。ただし、2年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでない。

第834条の二(親権停止の審判)
父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる。
2 家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、2年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める。

第835条(管理権喪失の審判)
父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、管理権喪失の審判をすることができる。

第836条(親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消し)
第834条本文、第834条の二第1項又は前条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人又はその親族の請求によって、それぞれ親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判を取り消すことができる。

第837条(親権又は管理権の辞任及び回復)
親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる。
2 前項の事由が消滅したときは、父又は母は、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を回復することができる。


【児童福祉法(改正対応)】↓

第33条 児童相談所長は、必要があると認めるときは、第26条第1項の措置を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせることができる。
② 都道府県知事は、必要があると認めるときは、第27条第1項又は第2項の措置(第28条第4項の規定による勧告を受けて採る指導措置を除く。)を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童相談所長をして、児童の一時保護を行わせ、又は適当な者に当該一時保護を行うことを委託させることができる。
③ 前2項の規定による一時保護の期間は、当該一時保護を開始した日から2月を超えてはならない。
④ 前項の規定にかかわらず、児童相談所長又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、引き続き第1項又は第2項の規定による一時保護を行うことができる。
⑤ 前項の規定により引き続き一時保護を行うことが当該児童の親権を行う者又は未成年後見人の意に反する場合においては、児童相談所長又は都道府県知事が引き続き一時保護を行おうとするとき、及び引き続き一時保護を行つた後2月を超えて引き続き一時保護を行おうとするときごとに、児童相談所長又は都道府県知事は、家庭裁判所の承認を得なければならない。ただし、当該児童に係る第28条第1項第1号若しくは第2号ただし書の承認の申立て又は当該児童の親権者に係る第33条の七の規定による親権喪失若しくは親権停止の審判の請求若しくは当該児童の未成年後見人に係る第33条の九の規定による未成年後見人の解任の請求がされている場合は、この限りでない。
⑥ 児童相談所長又は都道府県知事は、前項本文の規定による引き続いての一時保護に係る承認の申立てをした場合において、やむを得ない事情があるときは、一時保護を開始した日から2月を経過した後又は同項の規定により引き続き一時保護を行つた後2月を経過した後も、当該申立てに対する審判が確定するまでの間、引き続き一時保護を行うことができる。ただし、当該申立てを却下する審判があつた場合は、当該審判の結果を考慮してもなお引き続き一時保護を行う必要があると認めるときに限る。
⑦ 前項本文の規定により引き続き一時保護を行つた場合において、第5項本文の規定による引き続いての一時保護に係る承認の申立てに対する審判が確定した場合における同項の規定の適用については、同項中「引き続き一時保護を行おうとするとき、及び引き続き一時保護を行つた」とあるのは、「引き続いての一時保護に係る承認の申立てに対する審判が確定した」とする。
⑧ 児童相談所長は、特に必要があると認めるときは、第1項の規定により一時保護が行われた児童については満20歳に達するまでの間、次に掲げる措置を採るに至るまで、引き続き一時保護を行い、又は一時保護を行わせることができる。
一 第31条第4項の規定による措置を要すると認める者は、これを都道府県知事に報告すること。
二 児童自立生活援助の実施が適当であると認める満20歳未満義務教育終了児童等は、これをその実施に係る都道府県知事に報告すること。
⑨ 都道府県知事は、特に必要があると認めるときは、第2項の規定により一時保護が行われた児童については満20歳に達するまでの間、第31条第4項の規定による措置(第28条第4項の規定による勧告を受けて採る指導措置を除く。第11項において同じ。)を採るに至るまで、児童相談所長をして、引き続き一時保護を行わせ、又は一時保護を行うことを委託させることができる。
⑩ 児童相談所長は、特に必要があると認めるときは、第8項各号に掲げる措置を採るに至るまで、保護延長者(児童以外の満20歳に満たない者のうち、第31条第2項から第4項までの規定による措置が採られているものをいう。以下この項及び次項において同じ。)の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は保護延長者の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、保護延長者の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせることができる。
⑪ 都道府県知事は、特に必要があると認めるときは、第31条第4項の規定による措置を採るに至るまで、保護延長者の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は保護延長者の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童相談所長をして、保護延長者の一時保護を行わせ、又は適当な者に当該一時保護を行うことを委託させることができる。
⑫ 第8項から前項までの規定による一時保護は、この法律の適用については、第1項又は第2項の規定による一時保護とみなす。