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行政書士過去問 運送品が高価品である場合における運送人の責任

【令和2年行政書士試験出題】

【問題】運送品が高価品である場合における運送人の責任に関する特則について述べた次のア~オの記述のうち、商法の規定および判例に照らし、誤っているものの組合せはどれか。

ア 商法にいう「高価品」とは、単に高価な物品を意味するのではなく、運送人が荷送人から収受する運送賃に照らして、著しく高価なものをいう。

イ 運送品が高価品であるときは、荷送人が運送を委託するにあたりその種類および価額を通知した場合を除き、運送人は運送品に関する損害賠償責任を負わない。

ウ 荷送人が種類および価額の通知をしないときであっても、運送契約の締結の当時、運送品が高価品であることを運送人が知っていたときは、運送人は免責されない。

エ 運送人の故意によって高価品に損害が生じた場合には運送人は免責されないが、運送人の重大な過失によって高価品に損害が生じたときは免責される。

オ 高価品について運送人が免責されるときは、運送人の不法行為による損害賠償責任も同様に免除される。

1 ア・イ

2 ア・エ

3 イ・ウ

4 ウ・オ

5 エ・オ


【昭和45年4月21日,最高裁判所第三小法廷,損害賠償請求】

【判事事項】

商法578条所定の高価品の意味


【裁判要旨】

商法578条所定の高価品とは、容積または重量の割に著しく高価な物品をいうものと解すべきである。

『商法578条所定の高価品とは、容積または重量の割に著しく高価な物品をいう ものと解すべきところ、原審の確定する事実によれば、本件研磨機は容積重量ともに相当巨大であつて、その高価なことも一見明瞭な品種であるというのであるから、 本件研磨機は同条所定の高価品にはあたらないというべきである。したがつて、同条の適用、類推適用をなすべきではないとする原審の説示判断は、すべて正当として支持することができる。』


【試験ポイント】✨

ア✖【昭和45年4月21日,最高裁判所第三小法廷,損害賠償請求】

イ〇 商法第577条(高価品の特則)1項『貨幣、有価証券その他の高価品については、荷送人が運送を委託するに当たりその種類及び価額を通知した場合を除き、運送人は、その滅失、損傷又は延着について損害賠償の責任を負わない。』

ウ〇 商法第577条(高価品の特則)2項1号『物品運送契約の締結の当時、運送品が高価品であることを運送人が知っていたとき。』

エ✖ 商法第577条(高価品の特則)2項2号『運送人の故意又は重大な過失によって高価品の滅失、損傷又は延着が生じたとき。』

オ〇 商法第587条(運送人の不法行為責任)


【商法(改正対応)】↓

第577条(高価品の特則)
貨幣、有価証券その他の高価品については、荷送人が運送を委託するに当たりその種類及び価額を通知した場合を除き、運送人は、その滅失、損傷又は延着について損害賠償の責任を負わない。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 物品運送契約の締結の当時、運送品が高価品であることを運送人が知っていたとき。
二 運送人の故意又は重大な過失によって高価品の滅失、損傷又は延着が生じたとき。

第587条(運送人の不法行為責任)
第576条、第577条、第584条及び第585条の規定は、運送品の滅失等についての運送人の荷送人又は荷受人に対する不法行為による損害賠償の責任について準用する。ただし、荷受人があらかじめ荷送人の委託による運送を拒んでいたにもかかわらず荷送人から運送を引き受けた運送人の荷受人に対する責任については、この限りでない。