業務・試験対策

MEASURES

行政書士試験 記述過去問対策 宝塚市パチンコ条例事件

【平成29年出題】
【問題】A市は、市内へのパチンコ店の出店を規制するため、同市内のほぼ全域を出店禁止区域とする条例を制定した。しかし、事業者Yは、この条例は国の法令に抵触するなどと主張して、禁止区域内でのパチンコ店の建設に着手した。これに対して、A市は、同条例に基づき市長名で建設の中止命令を発したが、これをYが無視して建設を続行しているため、A市は、Yを被告として建設の中止を求める訴訟を提起した。最高裁判所の判例によれば、こうした訴訟は、どのような立場でA市が提起したものであるとされ、また、どのような理由で、どのような判決がなされるべきこととなるか。40字程度で記述しなさい。

【試験ポイント】✨

効率の良い学習方法として,正解を見て学習する方法に尽きます!例えば,センターの解答は,『もっぱら行政権の主体の立場からなされ,法律上の争訟に当たらず,訴え却下がなされる。』です。

他方,【裁判要旨】は,『国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は,不適法である。』です。

ここで注意したいのが,問いに記述を合わせることがポイントです。具体的には,問いの「どのような立場で」「どのような理由で」「どのような判決がなされるべきこととなるか。」の部分に合わせましょう!

① もっぱら行政権の主体の立場からなされ,

② 法律上の争訟に当たらず,

③ 訴え却下がなされる。


【平成14年7月9日,最高裁判所第三小法廷,建築工事続行禁止請求事件】

【判事事項】

1 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟の適否

2 地方公共団体が建築工事の中止命令の名あて人に対して同工事を続行してはならない旨の裁判を求める訴えが不適法とされた事例


【裁判要旨】

1 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は,不適法である。

2 宝塚市が,宝塚市パチンコ店等,ゲームセンター及びラブホテルの建築等の規制に関する条例(昭和58年宝塚市条例第19号)8条に基づき同市長が発した建築工事の中止命令の名あて人に対し,同工事を続行してはならない旨の裁判を求める訴えは,不適法である。


法律の争訟(ほうりつのそうしょう)とは?

【板まんだら事件】↓
『裁判所がその固有の権限に基づいて審判することのできる対象は、裁判所法3条にいう「法律上の争訟」、すなわち当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であつて、かつ、それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られる(最高裁昭和39年(行ツ)第61号同41年2月8日第3小法廷判決・民集20巻2号196頁参照)。』


判決文は,こちら