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行政書士試験過去問 行政調査 解説【 昭和47年11月22日】川崎民商事件

【平成26年行政書士試験出題】

【問題】行政調査に関する次のア〜エの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。争いがある場合には最高裁判所の判例の立場による。


ア 行政手続法には、行政調査の手続に関する通則的な規定は置かれておらず、また、同法は、情報収集を直接の目的とする処分・行政指導には適用されない。

イ 警察官職務執行法上の職務質問に付随して行う所持品検査は、検査の必要性、緊急性の認められる場合には、相手方への強制にわたるものであっても適法である。

ウ 法律の規定を設ければ、行政調査に応じなかったことを理由として、刑罰を科すなど、相手方に不利益を課すことも許される。

エ 税務調査(質問検査権)に関しては、国税通則法により、急速を要する場合を除き、事前に裁判官の許可を得ることが必要とされている。


1 ア・イ

2 ア・ウ

3 イ・ウ

4 イ・エ

5 ウ・エ


【最判昭和53年9月7日,最高裁判所第一小法廷,覚せい剤取締法違反、有印公文書偽造、同行使、道路交通法違反事件】↓

【判事事項】

一 職務質問に附随して行う所持品検査の許容限度

二 職務質問に附随して行う所持品検査において許容される限度を超えた行為と認められた事例

三 押収等の手続に違法のある証拠物とその証拠能力

四 押収手続に違法のある証拠物について証拠能力が認められた事例


【裁判要旨】

一 職務質問に附随して行う所持品検査は所持人の承諾を得てその限度でこれを行うのが原則であるが、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、たとえ所持人の承諾がなくても、所持品検査の必要性、緊急性、これによつて侵害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況のもとで相当と認められる限度において許容される場合がある。

二 警察官が、覚せい剤の使用ないし所持の容疑がかなり濃厚に認められる者に対して職務質問中、その者の承諾がないのに、その上衣左側内ポケツトに手を差し入れて所持品を取り出したうえ検査した行為(判文参照)は、職務質問に附随する所持品検査において許容される限度を超えた行為である。

三 証拠物の押収等の手続に憲法35条及びこれを受けた刑訴法218条1項等の所期する令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合においては、その証拠能力は否定されるべきである。

四 職務質問の要件が存在し、かつ、所持品検査の必要性と緊急性が認められる状況のもとで、必ずしも諾否の態度が明白ではなかつた者に対し、令状主義に関する諸規定を潜脱する意図なく、また、他に強制等を加えることなく行われた本件所持品検査(判文参照)において、警察官が所持品検査として許容される限度をわずかに超え、その者の承諾なくその上衣左側内ポケツトに手を差し入れて取り出し押収した点に違法があるに過ぎない本件証拠物の証拠能力は、これを肯定すべきである。


【 昭和47年11月22日,最高裁判所大法廷,所得税法違反(川崎民商事件)】↓

【判事事項】

一 刑事責任の追及を目的としない手続における強制と憲法35条1項

二 所得税法(昭和40年法律第33号による改正前のもの)63条、70条10号に規定する収税官吏の検査は憲法35条1項に違反するか

三 刑事手続以外の手続と憲法38条1項

四 所得税法(昭和40年法律第33号による改正前のもの)63条、70条10号、12号に規定する収税官吏の質問、検査は憲法38条1項に違反するか


【裁判要旨】

一 当該手続が刑事責任追及を目的とするものでないとの理由のみで、その手続における一切の強制が、憲法35条1項による保障の枠外にあることにはならない。

二 所得税法(昭和40年法律第33号による改正前のもの)63条、70条10号に規定する検査は、あらかじめ裁判官の発する令状によることをその一般的要件としないからといつて、憲法35条の法意に反するものではない。

三 憲法38条1項による保障は、純然たる刑事手続以外においても、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続にはひとしく及ぶものである。

四 所得税法(昭和40年法律第33号による改正前のもの)63条、70条10号、12号に規定する質問、検査は、憲法38条1項にいう「自己に不利益な供述」の「強要」にあたらない。

『所論は、昭和40年法律第33号による改正前の所得税法(以下、旧所得税法という。)70条10号の罪の内容をなす同法63条は、規定の意義が不明確であつて、憲法31条に違反するものである旨主張する。しかし、第一、二審判決判示の本件事実関係は、被告人が所管川崎税務署長に提出した昭和37年分所得税確定申告書について、同税務署が検討した結果、その内容に過少申告の疑いが認められたことから、その調査のため、同税務署所得税第二課に所属し所得税の賦課徴収事務に従事する職員において、被告人に対し、売上帳、仕入帳等の呈示を求めたというものであり、右職員の職務上の地位および行為が旧所得税法63条所定の各要件を具備するものであることは明らかであるから、旧所得税法70条10号の刑罰規定の内容をなす同法63条の規定は、それが本件に適用される場合に、その内容になんら不明確な点は存しない。所論は、その前提を欠き、上告適法の理由にあたらない。
同第2点について。
所論のうち、憲法35条違反をいう点は、旧所得税法70条10号、63条の規定が裁判所の令状なくして強制的に検査することを認めているのは違憲である旨の主張である。たしかに、旧所得税法70条10号の規定する検査拒否に対する罰則は、同法63条所定の収税官吏による当該帳簿等の検査の受忍をその相手方に対して強制する作用を伴なうものであるが、同法63条所定の収税官吏の検査は、もつぱら、所得税の公平確実な賦課徴収のために必要な資料を収集することを目的とする手続であつて、その性質上、刑事責任の追及を目的とする手続ではない、また、右検査の結果過少申告の事実が明らかとなり、ひいて所得税逋脱の事実の発覚にもつながるという可能性が考えられないわけではないが、そうであるからといつて、右検査が、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有するものと認めるべきことにはならない。けだし、この場合の検査の範囲は、前記の目的のため必要な所得税に関する事項にかぎられており、また、その検査は、同条各号に列挙されているように、所得税の賦課徴収手続上一定の関係にある者につき、その者の事業に関する帳簿その他の物件のみを対象としているのであつて、所得税の逋脱その他の刑事責任の嫌疑を基準に右の範囲が定められているのではないからである。
さらに、この場合の強制の態様は、収税官吏の検査を正当な理由がなく拒む者に対し、同法70条所定の刑罰を加えることによつて、間接的心理的に右検査の受忍を強制しようとするものであり、かつ、右の刑罰が行政上の義務違反に対する制裁として必ずしも軽微なものとはいえないにしても、その作用する強制の度合いは、それが検査の相手方の自由な意思をいちじるしく拘束して、実質上、直接的物理的な強制と同視すべき程度にまで達しているものとは、いまだ認めがたいところである。国家財政の基本となる徴税権の適正な運用を確保し、所得税の公平確実な賦課徴収を図るという公益上の目的を実現するために収税官吏による実効性のある検査制度が欠くべからざるものであることは、何人も否定しがたいものであるところ、その目的、必要性にかんがみれば、右の程度の強制は、実効性確保の手段として、あながち不均衡、不合理なものとはいえないのである。
憲法35条1項の規定は、本来、主として刑事責任追及の手続における強制について、それが司法権による事前の抑制の下におかれるべきことを保障した趣旨であるが、当該手続が刑事責任追及を目的とするものでないとの理由のみで、その手続における一切の強制が当然に右規定による保障の枠外にあると判断することは相当ではない。しかしながら、前に述べた諸点を総合して判断すれば、旧所得税法70条10号、63条に規定する検査は、あらかじめ裁判官の発する令状によることをその一般的要件としないからといつて、これを憲法35条の法意に反するものとすることはできず、前記規定を違憲であるとする所論は、理由がない。
所論のうち、憲法38条違反をいう点は、旧所得税法70条10号、12号、63条の規定に基づく検査、質問の結果、所得税逋脱(旧所得税法69条)の事実が明らかになれば、税務職員は右の事実を告発できるのであり、右検査、質問は、刑事訴追をうけるおそれのある事項につき供述を強要するもので違憲である旨の主張である。
しかし、同法70条10号、63条に規定する検査が、もつぱら所得税の公平確実な賦課徴収を目的とする手続であつて、刑事責任の追及を目的とする手続ではなく、また、そのための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有するものでもないこと、および、このような検査制度に公益上の必要性と合理性の存することは、前示のとおりであり、これらの点については、同法70条12号、63条に規定する質問も同様であると解すべきである。
そして、憲法38条1項の法意が、何人も自己の刑事上の責任を問われるおそれのある事項について供述を強要されないことを保障したものであると解すべきことは、当裁判所大法廷の判例(昭和27年(あ)第838号同32年2月20日判決・刑集11巻2号802頁)とするところであるが、右規定による保障は、純然たる刑事手続においてばかりではなく、それ以外の手続においても、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続には、ひとしく及ぶものと解するのを相当とする。
しかし、旧所得税法70条10号、12号、63条の検査、質問の性質が上述のようなものである以上、右各規定そのものが憲法38条1項にいう「自己に不利益な供述」を強要するものとすることはできず、この点の所論も理由がない。なお、憲法35条、38条1項に関して右に判示したところによつてみれば、右各条項が刑事手続に関する規定であつて直ちに行政手続に適用されるものではない旨の原判断は、右各条項についての解釈を誤つたものというほかはないのであるが、旧所得税法70条10号、63条の規定が、憲法35条、38条1項との関係において違憲とはいえないとする原判決の結論自体は正当であるから、この点の憲法解釈の誤りが判決に影響を及ぼさないことは、明らかである。
同第三点について。
所論のうち、憲法14条、19条、21条、12条違反をいう点は、第一、二審判決の判示にそわない事実関係を前提とする主張であつて、いずれも上告適法の理由にあたらない。所論は、また、憲法28条違反を主張するが、同条が、使用者対勤労者の関係にたつ者の間において勤労者の団結権および団体行動権を保障した規定であると解すべきことは、当裁判所大法廷の判例(昭和22年(れ)第319号同24年5月18日判決・刑集3巻6号772頁)とするところであつて、被告人の判示検査拒否の所為が、右団体行動権の行使とは認められないとした原判断は相当であるから、この点の所論は理由がない。
同第4点および第5点について。
所論は、憲法35条違反をいうような点もあるが、実質はいずれも事実誤認または単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。なお、記録を調べても、刑訴法411条を適用すべきものとは認められない(原 判決中、第一審判決を破棄するにあたり適用した法条に「刑事訴訟法第397条、第381条」とあるのは、「刑事訴訟法第397条、第380条」の単なる誤記と認める。)。よつて同法410条1項但書、414条、396条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。』


【試験ポイント】✨

行政上の強制措置分野である「行政調査」判例・川崎民商事件(昭和47・11・22)は,今後も出題されると思います!

ア〇 行政手続法3条(適用除外)1項14号

イ✖『職務質問に附随して行う所持品検査は所持人の承諾を得てその限度でこれを行うのが原則であるが、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、たとえ所持人の承諾がなくても、所持品検査の必要性、緊急性、これによつて侵害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況のもとで相当と認められる限度において許容される場合がある。』

ウ〇 国税通則法128条2号,「間接強制調査」

エ✖ おそらく川崎民商事件(昭和47・11・22)の判例である『当該手続が刑事責任追及を目的とするものでないとの理由のみで、その手続における一切の強制が、憲法35条1項による保障の枠外にあることにはならない。』を問いたかったと思います!

解答2


【国税通則法】↓

第74条の2(当該職員の所得税等に関する調査に係る質問検査権)
国税庁、国税局若しくは税務署(以下「国税庁等」という。)又は税関の当該職員(税関の当該職員にあつては、消費税に関する調査(第131条第1項(質問、検査又は領置等)に規定する犯則事件の調査を除く。以下この章において同じ。)を行う場合に限る。)は、所得税、法人税、地方法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件(税関の当該職員が行う調査にあつては、課税貨物(消費税法第2条第1項第11号(定義)に規定する課税貨物をいう。第4号イにおいて同じ。)若しくは輸出物品(同法第8条第1項(輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税)に規定する物品をいう。第4号イにおいて同じ。)又はこれらの帳簿書類その他の物件とする。)を検査し、又は当該物件(その写しを含む。次条から第74条の6まで(当該職員の質問検査権)において同じ。)の提示若しくは提出を求めることができる。
一 所得税に関する調査 次に掲げる者
イ 所得税法の規定による所得税の納税義務がある者若しくは納税義務があると認められる者又は同法第123条第1項(確定損失申告)、第125条第3項(年の中途で死亡した場合の確定申告)若しくは第127条第3項(年の中途で出国をする場合の確定申告)(これらの規定を同法第166条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)の規定による申告書を提出した者
ロ 所得税法第225条第1項(支払調書及び支払通知書)に規定する調書、同法第226条第1項から第3項まで(源泉徴収票)に規定する源泉徴収票又は同法第227条から第228条の3の2まで(信託の計算書等)に規定する計算書若しくは調書を提出する義務がある者
ハ イに掲げる者に金銭若しくは物品の給付をする義務があつたと認められる者若しくは当該義務があると認められる者又はイに掲げる者から金銭若しくは物品の給付を受ける権利があつたと認められる者若しくは当該権利があると認められる者
二 法人税又は地方法人税に関する調査 次に掲げる者
イ 法人(法人税法第2条第29号の2(定義)に規定する法人課税信託の引受けを行う個人を含む。第4項において同じ。)
ロ イに掲げる者に対し、金銭の支払若しくは物品の譲渡をする義務があると認められる者又は金銭の支払若しくは物品の譲渡を受ける権利があると認められる者
三 消費税に関する調査(次号に掲げるものを除く。)次に掲げる者
イ 消費税法の規定による消費税の納税義務がある者若しくは納税義務があると認められる者又は同法第46条第1項(還付を受けるための申告)の規定による申告書を提出した者
ロ イに掲げる者に金銭の支払若しくは資産の譲渡等(消費税法第2条第1項第8号に規定する資産の譲渡等をいう。以下この条において同じ。)をする義務があると認められる者又はイに掲げる者から金銭の支払若しくは資産の譲渡等を受ける権利があると認められる者
四 消費税に関する調査(税関の当該職員が行うものに限る。)次に掲げる者
イ 課税貨物を保税地域から引き取る者又は輸出物品を消費税法第8条第1項に規定する方法により購入したと認められる者
ロ イに掲げる者に金銭の支払若しくは資産の譲渡等をする義務があると認められる者又はイに掲げる者から金銭の支払若しくは資産の譲渡等を受ける権利があると認められる者
2 分割があつた場合の前項第2号の規定の適用については、分割法人(法人税法第2条第12号の2に規定する分割法人をいう。次条第3項において同じ。)は前項第2号ロに規定する物品の譲渡をする義務があると認められる者に、分割承継法人(同法第2条第12号の3に規定する分割承継法人をいう。次条第3項において同じ。)は前項第2号ロに規定する物品の譲渡を受ける権利があると認められる者に、それぞれ含まれるものとする。
3 分割があつた場合の第1項第3号又は第4号の規定の適用については、消費税法第2条第1項第6号に規定する分割法人は第1項第3号ロ又は第4号ロに規定する資産の譲渡等をする義務があると認められる者と、同条第1項第6号の2に規定する分割承継法人は第1項第3号ロ又は第4号ロに規定する資産の譲渡等を受ける権利があると認められる者と、それぞれみなす。
4 第1項に規定する国税庁等の当該職員のうち、国税局又は税務署の当該職員は、法人税又は地方法人税に関する調査にあつては法人の納税地の所轄国税局又は所轄税務署の当該職員(通算法人の各事業年度の所得に対する法人税又は当該法人税に係る地方法人税に関する調査に係る他の通算法人に対する同項の規定による質問、検査又は提示若しくは提出の要求にあつては当該通算法人の納税地の所轄国税局又は所轄税務署の当該職員を、納税地の所轄国税局又は所轄税務署以外の国税局又は税務署の所轄区域内に本店、支店、工場、営業所その他これらに準ずるものを有する法人に対する法人税又は地方法人税に関する調査にあつては当該国税局又は税務署の当該職員を、それぞれ含む。)に、消費税に関する調査にあつては消費税法第2条第1項第4号に規定する事業者の納税地の所轄国税局又は所轄税務署の当該職員(納税地の所轄国税局又は所轄税務署以外の国税局又は税務署の所轄区域内に住所、居所、本店、支店、事務所、事業所その他これらに準ずるものを有する第1項第3号イに掲げる者に対する消費税に関する調査にあつては、当該国税局又は税務署の当該職員を含む。)に、それぞれ限るものとする。
5 法人税等(法人税、地方法人税又は消費税をいう。以下この項において同じ。)についての調査通知(第65条第5項(過少申告加算税)に規定する調査通知をいう。以下この項において同じ。)があつた後にその納税地に異動があつた場合において、その異動前の納税地(以下この項において「旧納税地」という。)を所轄する国税局長又は税務署長が必要があると認めるときは、旧納税地の所轄国税局又は所轄税務署の当該職員は、その異動後の納税地の所轄国税局又は所轄税務署の当該職員に代わり、当該法人税等に関する調査(当該調査通知に係るものに限る。)に係る第1項第2号又は第3号に定める者に対し、同項の規定による質問、検査又は提示若しくは提出の要求をすることができる。この場合において、前項の規定の適用については、同項中「あつては法人の納税地」とあるのは「あつては法人の旧納税地(次項に規定する旧納税地をいう。以下この項において同じ。)」と、「同項」とあるのは「第1項」と、「通算法人の納税地」とあるのは「通算法人の旧納税地」と、「、納税地」とあるのは「、旧納税地」と、「事業者の納税地」とあるのは「事業者の旧納税地」と、「(納税地」とあるのは「(旧 納税地」とする。

第74条の3 (当該職員の相続税等に関する調査等に係る質問検査権)
国税庁等の当該職員は、相続税若しくは贈与税に関する調査若しくは相続税若しくは贈与税の徴収又は地価税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査又は徴収の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、第1号イに掲げる者の財産若しくは第2号イからハまでに掲げる者の土地等(地価税法第2条第1号(定義)に規定する土地等をいう。以下この条において同じ。)若しくは当該財産若しくは当該土地等に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めることができる。
一 相続税若しくは贈与税に関する調査又は相続税若しくは贈与税の徴収 次に掲げる者
イ 相続税法の規定による相続税又は贈与税の納税義務がある者又は納税義務があると認められる者(以下この号及び次項において「納税義務がある者等」という。)
ロ 相続税法第59条(調書の提出)に規定する調書を提出した者又はその調書を提出する義務があると認められる者
ハ 納税義務がある者等に対し、債権若しくは債務を有していたと認められる者又は債権若しくは債務を有すると認められる者
ニ 納税義務がある者等が株主若しくは出資者であつたと認められる法人又は株主若しくは出資者であると認められる法人
ホ 納税義務がある者等に対し、財産を譲渡したと認められる者又は財産を譲渡する義務があると認められる者
ヘ 納税義務がある者等から、財産を譲り受けたと認められる者又は財産を譲り受ける権利があると認められる者
ト 納税義務がある者等の財産を保管したと認められる者又はその財産を保管すると認められる者
二 地価税に関する調査 次に掲げる者
イ 地価税法の規定による地価税の納税義務がある者又は納税義務があると認められる者
ロ イに掲げる者に土地等の譲渡(地価税法第2条第2号に規定する借地権等の設定その他当該土地等の使用又は収益をさせる行為を含む。ロにおいて同じ。)をしたと認められる者若しくはイに掲げる者から土地等の譲渡を受けたと認められる者又はこれらの譲渡の代理若しくは媒介をしたと認められる者
ハ イに掲げる者の有する土地等を管理し、又は管理していたと認められる者
2 国税庁等の当該職員は、納税義務がある者等に係る相続税若しくは贈与税に関する調査又は当該相続税若しくは贈与税の徴収について必要があるときは、公証人の作成した公正証書の原本のうち当該納税義務がある者等に関する部分の閲覧を求め、又はその内容について公証人に質問することができる。
3 分割があつた場合の第1項第2号の規定の適用については、分割法人は同号ロに規定する土地等の譲渡をしたと認められる者に、分割承継法人は同号ロに規定する土地等の譲渡を受けたと認められる者に、それぞれ含まれるものとする。
4 第1項に規定する国税庁等の当該職員のうち、国税局又は税務署の当該職員は、地価税に関する調査にあつては、土地等を有する者の納税地の所轄国税局又は所轄税務署の当該職員(納税地の所轄国税局又は所轄税務署以外の国税局又は税務署の所轄区域内に住所、居所、本店、支店、事務所、事業所その他これらに準ずるものを有する同項第2号イに掲げる者に対する地価税に関する調査にあつては、当該国税局又は税務署の当該職員を含む。)に限るものとする。

第74条の4(当該職員の酒税に関する調査等に係る質問検査権)
国税庁等又は税関の当該職員(以下第4項までにおいて「当該職員」という。)は、酒税に関する調査について必要があるときは、酒類製造者等(酒類製造者(酒税法(昭和28年法律第6号)第7条第1項(酒類の製造免許)に規定する酒類製造者をいう。以下この条において同じ。)、酒母(同法第3条第24号(その他の用語の定義)に規定する酒母をいう。以下この条において同じ。)若しくはもろみ(同法第3条第25号に規定するもろみをいう。以下この条において同じ。)の製造者、酒類(同法第2条第1項(酒類の定義及び種類)に規定する酒類をいう。以下この条において同じ。)の販売業者又は特例輸入者(同法第30条の6第3項(納期限の延長)に規定する特例輸入者をいう。第4号において同じ。)をいう。第3項において同じ。)に対して質問し、これらの者について次に掲げる物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めることができる。
一 酒類製造者が所持する酒類、酒母、もろみ又は酒類の製造の際生じた副産物
二 酒母の製造者が所持する酒母
三 もろみの製造者が所持する酒母又はもろみ
四 酒類の販売業者又は特例輸入者が所持する酒類
五 酒類、酒母若しくはもろみの製造、貯蔵若しくは販売又は酒類の保税地域からの引取りに関する一切の帳簿書類
六 酒類、酒母又はもろみの製造、貯蔵又は販売上必要な建築物、機械、器具、容器又は原料その他の物件
2 当該職員は、前項第1号から第4号までに掲げる物件又はその原料を検査するため必要があるときは、これらの物件又はその原料について、必要最少限度の分量の見本を採取することができる。
3 当該職員は、酒類製造者等に原料を譲渡する義務があると認められる者その他自己の事業に関し酒類製造者等と取引があると認められる者に対して質問し、これらの者の業務に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めることができる。
4 当該職員は、酒税の徴収上必要があると認めるときは、酒類製造者又は酒税法第10条第2号(製造免許等の要件)に規定する酒類販売業者の組織する団体(当該団体をもつて組織する団体を含む。)に対してその団体員の酒類の製造若しくは販売に関し参考となるべき事項を質問し、当該団体の帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めることができる。
5 国税庁等の当該職員は、検査のため必要があると認めるときは、酒類製造者若しくは酒母若しくはもろみの製造者の製造場にある酒類、酒母若しくはもろみの移動を禁止し、又は取締り上必要があると認めるときは、酒類製造者の製造場にある次に掲げる物件に封を施すことができる。ただし、第2号の物件について封を施すことができる箇所は、政令で定める。
一 酒類の原料(原料用酒類を含む。)の容器
二 使用中の蒸留機(配管装置を含む。)及び酒類の輸送管(流量計を含む。)
三 酒類の製造又は貯蔵に使用する機械、器具又は容器で使用を休止しているもの

第74条の5(当該職員のたばこ税等に関する調査に係る質問検査権)
国税庁等又は税関の当該職員(税関の当該職員にあつては、印紙税に関する調査を行う場合を除く。)は、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税、石油石炭税、国際観光旅客税又は印紙税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める行為をすることができる。
一 たばこ税に関する調査 次に掲げる行為
イ たばこ税法(昭和59年法律第72号)第25条(記帳義務)に規定する者に対して質問し、これらの者の業務に関する製造たばこ(同法第3条(課税物件)に規定する製造たばこをいう。以下この号において同じ。)若しくは帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めること。
ロ 製造たばこを保税地域から引き取る者に対して質問し、又はその引き取る製造たばこを検査すること。
ハ イに規定する者の業務に関する製造たばこ又はロに規定する製造たばこについて必要最少限度の分量の見本を採取すること。
ニ イ又はロに規定する者に原料を譲渡する義務があると認められる者その他自己の事業に関しイ又はロに規定する者と取引があると認められる者に対して質問し、これらの者の業務に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めること。
二 揮発油税又は地方揮発油税に関する調査 次に掲げる行為
イ 揮発油税法(昭和32年法律第55号)第24条(記帳義務)に規定する者に対して質問し、これらの者の業務に関する揮発油(同法第2条第1項(定義)に規定する揮発油(同法第6条(揮発油等とみなす場合)の規定により揮発油とみなされる物を含む。)をいう。以下この号において同じ。)若しくは帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めること。
ロ 揮発油を保税地域から引き取る者に対して質問し、又はその引き取る揮発油を検査すること。
ハ イに規定する者の業務に関する揮発油又はロに規定する揮発油について必要最少限度の分量の見本を採取すること。
ニ イ又はロに規定する者に原料を譲渡する義務があると認められる者その他自己の事業に関しイ又はロに規定する者と取引があると認められる者に対して質問し、これらの者の業務に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めること。
三 石油ガス税に関する調査 次に掲げる行為
イ 石油ガス税法(昭和40年法律第156号)第24条(記帳義務)に規定する者に対して質問し、これらの者の業務に関する石油ガス(同法第2条第1号(定義)に規定する石油ガスをいう。以下この号において同じ。)、石油ガスの容器若しくは帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めること。
ロ 課税石油ガス(石油ガス税法第3条(課税物件)に規定する課税石油ガスをいう。以下この号において同じ。)を保税地域から引き取る者に対して質問し、又はその引き取る課税石油ガス及び自動車用の石油ガス容器(同法第2条第3号に規定する自動車用の石油ガス容器をいう。)を検査すること。
ハ イに規定する者の業務に関する石油ガス又はロに規定する課税石油ガスについて必要最少限度の分量の見本を採取すること。
ニ イ又はロに規定する者に石油ガスを譲渡する義務があると認められる者その他自己の事業に関しイ又はロに規定する者と取引があると認められる者に対して質問し、これらの者の業務に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めること。
四 石油石炭税に関する調査 次に掲げる行為
イ 石油石炭税法第21条(記帳義務)に規定する者に対して質問し、これらの者の業務に関する原油等(同法第4条第2項(納税義務者)に規定する原油等をいう。以下この号において同じ。)若しくは帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めること。
ロ 原油等を保税地域から引き取る者(石油石炭税法第15条第1項(引取りに係る原油等についての課税標準及び税額の申告等の特例)の承認を受けている者を除く。)に対して質問し、又はその引き取る原油等を検査すること。
ハ イに規定する者の業務に関する原油等又はロに規定する原油等について必要最少限度の分量の見本を採取すること。
ニ イ又はロに規定する者に原油等を譲渡する義務があると認められる者その他自己の事業に関しイ又はロに規定する者と取引があると認められる者に対して質問し、これらの者の業務に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めること。
五 国際観光旅客税に関する調査 次に掲げる行為
イ 次に掲げる者に対して質問し、その者の業務に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めること。
(1)国際観光旅客税法の規定による国際観光旅客税の納税義務がある者又は納税義務があると認められる者
(2)国際観光旅客税法第16条第1項(国内事業者による特別徴収等)又は第17条第1項(国外事業者による特別徴収等)の規定により国際観光旅客税を徴収して納付する義務がある者又はその義務があると認められる者
ロ イ(2)に掲げる者の委託を受けて運賃の領収を行う者その他自己の事業に関しイに規定する者と取引があると認められる者に対して質問し、これらの者の業務に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めること。
六 印紙税に関する調査 次に掲げる行為
イ 印紙税法の規定による印紙税の納税義務がある者若しくは納税義務があると認められる者に対して質問し、これらの者の業務に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めること。
ロ 課税文書(印紙税法第3条第1項(納税義務者)に規定する課税文書をいう。ロにおいて同じ。)の交付を受けた者若しくは課税文書の交付を受けたと認められる者に対して質問し、当該課税文書を検査し、又は当該課税文書(その写しを含む。)の提示若しくは提出を求めること。
ハ 印紙税法第10条第1項(印紙税納付計器の使用による納付の特例)に規定する印紙税納付計器の販売業者若しくは同項に規定する納付印の製造業者若しくは販売業者に対して質問し、これらの者の業務に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めること。

第74条の6(当該職員の航空機燃料税等に関する調査に係る質問検査権)
国税庁等の当該職員は、航空機燃料税又は電源開発促進税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その帳簿書類その他の物件(第1号ロ又は第2号ロに掲げる者に対する調査にあつては、その事業に関する帳簿書類その他の物件に限る。)を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めることができる。
一 航空機燃料税に関する調査 次に掲げる者
イ 航空機の所有者等(航空機燃料税法(昭和47年法律第7号)第14条第1項(課税標準及び税額の申告)に規定する航空機の所有者等をいう。次項において同じ。)
ロ イに掲げる者に対し航空機燃料(航空機燃料税法第2条第2号(定義)に規定する航空機燃料をいう。ロ及び次項において同じ。)を譲渡する義務があると認められる者(その者の委託を受けて航空機燃料の貯蔵、運搬又は積込みを行う者を含む。)その他自己の事業に関しイに掲げる者と取引があると認められる者
二 電源開発促進税に関する調査 次に掲げる者
イ 一般送配電事業者等(電源開発促進税法(昭和49年法律第79号)第2条第2号(定義)に規定する一般送配電事業者等をいう。次項において同じ。)
ロ イに掲げる者に対し電気を供給したと認められる者その他自己の事業に関し
イに掲げる者と取引があると認められる者
2 前項に規定する国税庁等の当該職員のうち、国税局又は税務署の当該職員は、航空機燃料税に関する調査にあつては航空機の所有者等の納税地の所轄国税局又は所轄税務署の当該職員(納税地の所轄国税局又は所轄税務署以外の国税局又は税務署の所轄区域内に、住所、居所、事務所、事業所、航空機燃料の保管場所その他これらに準ずるものを有する航空機の所有者等に対する航空機燃料税に関する調査にあつては、当該国税局又は税務署の当該職員を含む。)に、電源開発促進税に関する調査にあつては一般送配電事業者等の納税地の所轄国税局又は所轄税務署の当該職員(納税地の所轄国税局又は所轄税務署以外の国税局又は税務署の所轄区域内に、営業所、事務所その他の事業場又は電気事業法(昭和39年法律第170号)第2条第1項第18号(定義)に規定する電気工作物を有する一般送配電事業者等に対する電源開発促進税に関する調査にあつては、当該国税局又は税務署の当該職員を含む。)に、それぞれ限るものとする。


第128条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
一 第23条第3項(更正の請求)に規定する更正請求書に偽りの記載をして税務署長に提出した者
二 第74条の2、第74条の3(第2項を除く。)若しくは第74条の4から第74条の6まで(当該職員の質問検査権)の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
三 第74条の2から第74条の6まで又は第74条の7の2(特定事業者等への報告の求め)の規定による物件の提示若しくは提出又は報告の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件(その写しを含む。)を提示し、若しくは提出し、若しくは偽りの報告をした者