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行政書士試験過去問 行政行為(処分)最高裁判所の判例

【令和2年行政書士試験出題】

【問題】行政行為(処分)に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

1 処分に重大かつ明白な瑕疵があり、それが当然に無効とされる場合において、当該瑕疵が明白であるかどうかは、当該処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決すべきである。

2 行政庁の処分の効力の発生時期については、特別の規定のない限り、その意思表示が相手方に到達した時ではなく、それが行政庁から相手方に向けて発信された時と解するのが相当である。

3 課税処分における内容の過誤が課税要件の根幹にかかわる重大なものである場合であっても、当該瑕疵に明白性が認められなければ、当該課税処分が当然に無効となることはない。

4 相手方に利益を付与する処分の撤回は、撤回の対象となる当該処分について法令上の根拠規定が定められていたとしても、撤回それ自体について別途、法令上の根拠規定が定められていなければ、適法にすることはできない。

5 旧自作農創設特別措置法に基づく農地買収計画の決定に対してなされた訴願を認容する裁決は、これを実質的に見れば、その本質は法律上の争訟を裁判するものであるが、それが処分である以上、他の一般的な処分と同様、裁決庁自らの判断で取り消すことを妨げない。


【昭和63年6月17日,最高裁判所第2小法廷,優生保護法指定医の指定取消処分取消等請求事件】

【判事事項】

いわゆる実子あつせんをしたことを理由に優生保護法14条1項による指定医師の指定を撤回することができるとされた事例


【裁判要旨】

優生保護法14条1項による指定を受けた医師が、虚偽の出生証明書を発行して他人の嬰児をあつせんするいわゆる実子あつせんを長年にわたり多数回行つたことが判明し、そのうちの一例につき医師法違反等の罪により罰金刑に処せられたため、右指定の撤回により当該医師の被る不利益を考慮してもなおそれを撤回すべき公益上の必要性が高いと認められる場合に、指定権限を付与されている都道府県医師会は、右指定を撤回することができる。


【昭和29年1月21日,最高裁判所第1小法廷,行政処分取消請求】

【判事事項】

農地買収計画を取り消した訴願裁決を裁決庁が自ら取り消すことの適否


【裁判要旨】

訴願裁決で農地買収計画を取り消した後に、裁決庁が自ら右訴願裁決を取り消すことは原則としてゆるされない。

『本件裁決は、D農地委員会が立てた農地の買収計画に対し被上告人が申立てた異議の却下決定に対し、一旦なされた被上告人の主張を認める裁決を取消したものである。この裁決が行政処分であることは言うまでもないが、実質的に見ればその本質は法律上の争訟を裁判するものである。憲法76条2項後段によれば、「行政機関は、終審として裁判を行うことができない」のであつて、終審としては、裁判所が裁判を行うが、行政機関をして前審として裁判を行わしめることは、何等差支えないのである。本件裁決のごときは、行政機関である上告人が実質的には裁判を行つているのであるが、行政機関がするのであるから行政処分に属するわけである。かかる性質を有する裁決は、他の一般行政処分とは異り、特別の規定がない限り、原判決のいうように裁決庁自らにおいて取消すことはできないと解するを相当とする。』


【試験ポイント】✨

1〇 【昭和36年3月7日,最高裁判所第三小法廷,国税賦課処分無効請求事件】『行政処分の瑕疵が明白であるということは,処分要件の存在を肯定する処分庁の認定の誤認であることが,処分成立の当初から,外形上,客観的に明白であることをさすものと解すべきである。』,詳しくは,こちら
2✖ 【昭和29年8月24日,最高裁判所第3小法廷】
特定の公務員の任免の如き行政庁の処分は,特定の規程のない限り,意思表示の一般的法理に従い,その意思表示が相手方に到達した時,詳しくは,こちら
3✖ 【昭和48年4月26日,最高裁判所第1小法廷,所得税賦課処分無効確認等請求】『当該処分における内容上の過誤が課税要件の根幹についてのそれであつて、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に右処分による不利益を甘受させることが、著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には、前記の過誤による瑕疵は、当該処分を当然無効ならしめるものと解するのが相当である。』,詳しくは,こちら
4✖【昭和63年6月17日,最高裁判所第2小法廷,優生保護法指定医の指定取消処分取消等請求事件】
5✖【昭和29年1月21日,最高裁判所第1小法廷,行政処分取消請求】
『訴願裁決で農地買収計画を取り消した後に、裁決庁が自ら右訴願裁決を取り消すことは原則としてゆるされない。』