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行政書士試験過去問 民法対応 選択債権

【令和2年行政書士試験出題】

【問題】A・B間において、Aが、Bに対して、Aの所有する甲建物または乙建物のうちいずれかを売買する旨の契約が締結された。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。

1 給付の目的を甲建物とするか乙建物とするかについての選択権は、A・B間に特約がない場合には、Bに帰属する。

2 A・B間の特約によってAが選択権者となった場合に、Aは、給付の目的物として甲建物を選択する旨の意思表示をBに対してした後であっても、Bの承諾を得ることなく、その意思表示を撤回して、乙建物を選択することができる。

3 A・B間の特約によってAが選択権者となった場合において、Aの過失によって甲建物が焼失したためにその給付が不能となったときは、給付の目的物は、乙建物になる。

4 A・B間の特約によって第三者Cが選択権者となった場合において、Cの選択権の行使は、AおよびBの両者に対する意思表示によってしなければならない。

5 A・B間の特約によって第三者Cが選択権者となった場合において、Cが選択をすることができないときは、選択権は、Bに移転する。


【試験ポイント】✨

1✖ 民法第406条(選択債権における選択権の帰属)『債権の目的が数個の給付の中から選択によって定まるときは、その選択権は、債務者に属する。』,よって,その選択権は、債務者に属する。このような債権を「選択債権」と呼ぶ。要は,目的物を引き渡す義務のあるA=債務者

2✖ 民法第407条(選択権の行使)2項『前項の意思表示は、相手方の承諾を得なければ、撤回することができない。』

3〇 民法第410条(不能による選択債権の特定)『債権の目的である給付の中に不能のものがある場合において、その不能が選択権を有する者の過失によるものであるときは、債権は、その残存するものについて存在する。』

4✖ 民法第409条(第三者の選択権)1項『第三者が選択をすべき場合には、その選択は、債権者又は債務者に対する意思表示によってする。』,債権者又は債務者が正解。

5✖ 民法第409条(第三者の選択権)2項,選択権は、債務者に移転する。


【民法(改正対応)】↓

第406条(選択債権における選択権の帰属)
債権の目的が数個の給付の中から選択によって定まるときは、その選択権は、債務者に属する。

第407条(選択権の行使)
前条の選択権は、相手方に対する意思表示によって行使する。
2 前項の意思表示は、相手方の承諾を得なければ、撤回することができない。

第409条(第三者の選択権)
第三者が選択をすべき場合には、その選択は、債権者又は債務者に対する意思表示によってする。
2 前項に規定する場合において、第三者が選択をすることができず、又は選択をする意思を有しないときは、選択権は、債務者に移転する。

第410条(不能による選択債権の特定)※ 民法改正2項削除
債権の目的である給付の中に不能のものがある場合において、その不能が選択権を有する者の過失によるものであるときは、債権は、その残存するものについて存在する。