行政書士試験過去問 最高裁判所が示した判断
【判事事項】
一 個人の経済活動に対し社会経済政策の実施の一手段としてなされる法的規制措置の合憲性
二 個人の経済活動に対する法的規制措置と違憲判断
三 小売商業調整特別措置法3条1項、同法施行令1条、2条所定の小売市場の許可規制の合憲性
四 違憲の主張が上告適法の理由にあたらないとされた事例
五 憲法25条1項違反の主張が前提を欠くとされた事例
【裁判要旨】
一 国が、積極的に、国民経済の健全な発達と国民生活の安定を期し、社会経済全体の均衡のとれた調和的発展を図るため、その社会経済政策の実施の一手段として、立法により、個人の経済活動に対し、一定の規則措置を講ずることは、それが右目的達成のために必要かつ合理的な範囲にとどまる限り、憲法の禁ずるところではない。
二 個人の経済活動に対する法的規制措置については、裁判所は、立法府がその裁量権を逸脱し、当該法的規制措置が著しく不合理であることの明白な場合に限つて、これを違憲とすることができる。
三 小売商業調整特別措置法3条1項、同法施行令1条、2条所定の小売市場の許可規制は、憲法22条1項、14条に違反しない。
四 小売商業調整特別措置法5条1号に基づく大阪府小売市場許可基準内規(一)は、それ自体、法的拘束力を有するものではなく、単に同法3条1項に基づく許可申請にかかる許可行政の運用基準を定めたものにすぎないから、その当否は、具体的な不許可処分の適否を通じて争えば足り、右許可申請をしない者が右内規の一般的合憲性を争うことは許されない。
五 小売商業調整特別措置法所定の小売市場の許可規制のために、国民の健康で文化的な最低限度の生活に具体的に特段の影響を及ぼしたという事実は、本件記録上もこれを認めることができないから、所論憲法25条1項違反の主張は、その前提を欠き、上告適法の理由にあたらない。
【判事事項】
一 司法書士法19条1項、25条1項と憲法22条1項
二 行政書士が業として登記申請手続について代理することと司法書士法19条1項
【裁判要旨】
一 司法書士及び公共嘱託登記司法書士協会以外の者が他人の嘱託を受けて登記に関する手続について代理する業務及び登記申請書類を作成する業務を行うことを禁止し、これに違反した者を処罰する司法書士法19条1項、25条1項は、憲法22条1項に違反しない。
二 行政書士が業として登記申請手続について代理することは、司法書士法19条1項に違反する。
【判事事項】
一 公衆浴場法(昭和25年法律第187号による改正後のもの)第2条第2項後段の規定並びに昭和25年福岡県条例第54号第3条の規定と憲法第22条
二 同条例第3条ないし第5条と憲法第94条
【裁判要旨】
一 公衆浴場法(昭和25年法律第187号による改正後のもの)第2条第2項後段の、「公衆浴場の設置場所が配置の適正を欠くと認められる場合には、都道府県知事は公衆浴場の経営を許可しないことができる」旨の規定並びに昭和25年福岡県条例第54号3条の、公衆浴場の設置場所の配置の基準等を定めている規定は、いずれも職業選択の自由を保証する憲法第22条に違反しない。
二 同条例第3条ないし第5条の規定は、公衆浴場法第2条の範囲内で同法が例外的に不許可とする場合の細則を定めたもので、憲法第94条に違反しない。
【判事事項】
酒税法9条、10条10号と憲法22条1項
【裁判要旨】
酒税法9条、10条10号は、憲法22条1項に違反しない。
(補足意見及び反対意見がある。)
ア✖【昭和50年4月30日,最高裁判所大法廷,行政処分取消請求】,『供給業者を一定の資格要件を具備する者に限定し、それ以外の者による開業を禁止する許可制を採用したことは、それ自体としては公共の福祉に適合する目的のための必要かつ合理的措置として肯認することができる』詳しくは,こちらの記事へ
イ〇【昭和47年11月22日,最高裁判所大法廷,小売商業調整特別措置法違反】
ウ〇【平成12年2月8日,最高裁判所第三小法廷,司法書士法違反被告事件】
エ〇【昭和30年1月26日,最高裁判所大法廷,公衆浴場法違反】
オ✖【平成4年12月15日, 最高裁判所第三小法廷,酒類販売業免許拒否処分取消】