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行政書士試験過去問 取締役会設置会社

【令和元年行政書士試験出題】

【問題】取締役会設置会社(指名委員会等設置会社および監査等委員会設置会社を除く。)の取締役会に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。なお、定款または取締役会において別段の定めはないものとする。

ア 取締役会は、代表取締役がこれを招集しなければならない。

イ 取締役会を招集する場合には、取締役会の日の1週間前までに、各取締役(監査役設置会社にあっては、各取締役および各監査役)に対して、取締役会の目的である事項および議案を示して、招集の通知を発しなければならない。

ウ 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行う。

エ 取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。

オ 取締役会の決議に参加した取締役であって、取締役会の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。

1 ア・イ

2 ア・オ

3 イ・ウ

4 ウ・エ

5 エ・オ


【取締役会の招集(まとめ関連条文)】↓

原則:各取締役(366条1項)

※ ただし、取締役会を招集する取締役を定款又は取締役会で定めたときは、その取締役が招集(366条1項ただし書)

※ 招集権者以外の取締役は、招集権者に対し、取締役会の目的である事項を示して、取締役会の招集を請求することができる(366条2項・3項)。

※ 取締役会設置会社(監査役設置会社、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)の株主は、取締役が取締役会設置会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがあると認めるときは、取締役会の招集を請求することができる(367条1項)。

※ 監査役は、前条に規定する場合において、必要があると認めるときは、取締役(第366条第1項ただし書に規定する場合にあっては、招集権者)に対し、取締役会の招集を請求することができる(383条2項)。


【招集通知(368条1項)】↓

※ 1週間前(ただし定款で短縮可能)

※ 議案等を示す必要なし

※ 書面又は口頭


【招集手続の省略(368条2項)】

※ 取締役会は、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。


【株主総会の招集(まとめ関連条文)】↓

原則:取締役(296条3項)

※ 株主による招集の請求(297条1項)

総株主の議決権の100分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。)及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。


【招集通知(299条1項)】↓

※ 2週間前(ただし公開会社でない株式会社にあっては1週間,定款で短縮可)

※ 298条各号を示す必要

※ 書面,電磁的方法または口頭(299条2項)


【招集手続の省略(300条)】↓

※ 株主全員の同意


【試験ポイント】✨

ア✖ 会社法第366条(招集権者)1項『取締役会は、各取締役が招集する。ただし、取締役会を招集する取締役を定款又は取締役会で定めたときは、その取締役が招集する。』

イ✖ 会社法368条1項『取締役会を招集する者は、取締役会の日の1週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各取締役(監査役設置会社にあっては、各取締役及び各監査役)に対してその通知を発しなければならない。』,「取締役会の目的である事項および議案を示して」が間違い。通知に議案等を示す必要はない。名古屋高判平成12年1月19日

ウ〇 会社法第369条(取締役会の決議)1項『取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。』

エ〇 会社法第369条(取締役会の決議)2項

オ〇 会社法会社法第369条(取締役会の決議)5項


【会社法(改正対応)】↓

第299条(株主総会の招集の通知)
株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の2週間(前条第1項第3号又は第4号に掲げる事項を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、1週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。
2 次に掲げる場合には、前項の通知は、書面でしなければならない。
一 前条第1項第3号又は第4号に掲げる事項を定めた場合
二 株式会社が取締役会設置会社である場合
3 取締役は、前項の書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、株主の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。この場合において、当該取締役は、同項の書面による通知を発したものとみなす。
4 前2項の通知には、前条第1項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。

第366条(招集権者)
取締役会は、各取締役が招集する。ただし、取締役会を招集する取締役を定款又は取締役会で定めたときは、その取締役が招集する。
2 前項ただし書に規定する場合には、同項ただし書の規定により定められた取締役(以下この章において「招集権者」という。)以外の取締役は、招集権者に対し、取締役会の目的である事項を示して、取締役会の招集を請求することができる。
3 前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を取締役会の日とする取締役会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした取締役は、取締役会を招集することができる。

第368条(招集手続)
取締役会を招集する者は、取締役会の日の1週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各取締役(監査役設置会社にあっては、各取締役及び各監査役)に対してその通知を発しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、取締役会は、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。

第369条(取締役会の決議)
取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。
2 前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。
3 取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
4 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
5 取締役会の決議に参加した取締役であって第3項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。