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行政書士試験過去問民法 判例 附款 条件が成就した場合の効果

【平成30年行政書士試験出題】

【問題】A・B間で締結された契約(以下「本件契約」という。)に附款がある場合に関する次のア〜オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア 本件契約に、経済情勢に一定の変動があったときには当該契約は効力を失う旨の条項が定められている場合、効力の喪失時期は当該変動の発生時が原則であるが、A・Bの合意により、効力の喪失時期を契約時に遡らせることも可能である。

イ 本件契約が売買契約であり、買主Bが品質良好と認めた場合には代金を支払うとする旨の条項が定められている場合、この条項はその条件の成就が代金債務者であるBの意思のみに係る随意条件であるから無効である。

ウ 本件契約が和解契約であり、Bは一定の行為をしないこと、もしBが当該禁止行為をした場合にはAに対して違約金を支払う旨の条項が定められている場合、Aが、第三者Cを介してBの当該禁止行為を誘発したときであっても、BはAに対して違約金支払の義務を負う。

エ 本件契約が農地の売買契約であり、所有権移転に必要な行政の許可を得られたときに効力を生じる旨の条項が定められている場合において、売主Aが当該許可を得ることを故意に妨げたときであっても、条件が成就したとみなされることはない。

オ 本件契約が金銭消費貸借契約であり、借主Bが将来社会的に成功を収めた場合に返済する旨の条項(いわゆる出世払い約款)が定められている場合、この条項は停止条件を定めたものであるから、Bは社会的な成功を収めない限り返済義務を負うものではない。

1 ア・イ

2 ア・エ

3 イ・ウ

4 ウ・オ

5 エ・オ


【昭和31年4月6日,最高裁判所第二小法廷,鉱業権移転登録手続請求】

【判事事項】

一 条件が債務者の意思のみにかかる停止条件附法律行為にはあたらない一事例

二 売買契約後の貨幣価値の著しい変動と代金額の修正


【裁判要旨】

一 鉱業権の売買契約において、買主が排水探鉱の結果品質良好と認めたときは代金を支払い、品質不良と認めたときは代金を支払わない旨を約しても、右売買契約は、民法第134条にいわゆる条件が単に債務者の意思のみにかかる停止条件附法律行為とはいえない。

二 売買契約成立後貨幣価値が著しく変動しても、それだけで代金額が当然修正されるものと解すべきではない。


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【平成6年5月31日,最高裁判所第三小法廷,執行文付与に対する異議】

【判事事項】

条件の成就によって利益を受ける当事者が故意に条件を成就させたときと民法130条の類推適用


【裁判要旨】

条件の成就によって利益を受ける当事者が故意に条件を成就させたときは、民法130条の類推適用により、相手方は条件が成就していないものとみなすことができる。


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【昭和36年5月26日,最高裁判所第二小法廷,農地売買契約無効確認等請求】

【判事事項】

一 農地の売買契約において「知事の許可を得ることを条件とする」ことの意義

二 農地の売主が故意に知事の許可を得ることを妨げた場合と民法第130条の類推適用の有無


【裁判要旨】

一 知事の許可を得ることを条件として農地の売買契約をしたとしても、いわゆる停止条件を附したものということはできない。

二 農地の売主が故意に知事の許可を得ることを妨げたとしても、買主は条件を成就したものとみなすことはできない。


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【試験ポイント】✨

ア〇 第127条(条件が成就した場合の効果)3項『当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。』

イ✖【昭和31年4月6日,最高裁判所第二小法廷,鉱業権移転登録手続請求】

ウ✖ 第130条(条件の成就の妨害等)1項,2項,【平成6年5月31日,最高裁判所第三小法廷,執行文付与に対する異議】

エ〇【昭和36年5月26日,最高裁判所第二小法廷,農地売買契約無効確認等請求】

オ✖ 判例によると「出世払い」は期限です(大判大4年3月24日)。


【民法(改正対応)】↓

第127条(条件が成就した場合の効果)
停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
2 解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。
3 当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。

第130条(条件の成就の妨害等)
条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
2 条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。

第134条(随意条件)
停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。