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行政書士試験過去問判例【一問一答】民法第717条

【令和元年出題】
【問題】宅地の崖地部分に設けられたコンクリートの擁壁の設置または保存による瑕疵が前所有者の所有していた際に生じていた場合に、現所有者が当該擁壁には瑕疵がないと過失なく信じて当該宅地を買い受けて占有していたとしても、現所有者は土地の工作物責任を負う。

【 昭和46年4月23日,最高裁判所第2小法廷, 損害賠償請求】

【判事事項】

一、踏切道の軌道施設に保安設備を欠く場合と民法717条の責任

二、踏切道の軌道施設に設置上のかしがあるとされた事例


【裁判要旨】

一、土地の工作物たる踏切道の軌道施設は、保安設備とあわせ一体としてこれを考察すべきであり、本来そなえるべき保安設備を欠く場合には、土地の工作物たる軌道施設の設置にかしがあるものとして、民法717条所定の帰責原因になる。

二、電車の踏切において、横断者からみた踏切付近の見通しが判示のとおりであり、所定の速度で踏切を通過しようとする電車の運転者が、踏切上にある歩行者を最遠距離において発見してただちに急停車の措置をとつても、踏切を越える地点でなければ停止できないほど見通しが悪いうえ、一日につき、換算交通量700人程度、列車回数504回にのぼり、過去においても数度に及ぶ電車と通行人との接触事故があつたという事情のある場合には、少なくとも右踏切に警報機を設置していなかつたことは、土地の工作物たる軌道施設の設置にかしがあつたものというべきである。


【民法(改正対応)】↓

第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3 前2項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。


解答〇