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行政書士試験民法改正【第624条の2(履行の割合に応じた報酬)】

【新民法(改正後)】

第624条の2(履行の割合に応じた報酬)
労働者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 使用者の責めに帰することができない事由によって労働に従事することができなくなったとき。
二 雇用が履行の中途で終了したとき。


【出典:民法(債権関係)の改正に関する検討事項(12)詳細版】

『(補足説明)
雇用契約は,原則として,労務の履行に対し,その履行の割合に応じて報酬が支払われる契約類型であるとされているが,特に問題となるのは,具体的報酬請求権の発生時期である。例えば,ストライキ等により労働者が労務を履行しなかった場合における賃金請求権の発生の有無やその法律構成をめぐって,古くから様々な議論がされてきた。現在の通説は,民法第623条や同法第624条を根拠として,雇用契約においては,労働者が労務を履行しなければ報酬請求権は具体的に発生しないという原則(ノーワーク・ノーペイの原則)が認められるとしており,判例(最判昭和63年3月15日民集42巻3号170頁(宝運輸事件))もこれを認めている。そして,この原則の帰結として,報酬が前払された場合に労務を中途で終了したときには,履行しなかった部分の労務に対する報酬を労働者は返還しなければならないとされる。ノーワーク・ノーペイの原則及びこの原則から導かれる上記の帰結は,必ずしも条文からは明らかでないことから,報酬請求権に関する法律関係を明確化するために,明文の規定を設けるべきであるという考え方が提示されている。このような考え方について,どのように考えるか。』『労務の履行が期間の中途で終了した場合における報酬請求権の帰すう労働者が退職する等の理由により,労務の履行が期間の中途で終了した場合の報酬請求権の帰すうについては,条文上,必ずしも明らかでないが,労務が履行されていない部分については具体的な報酬請求権が発生せず,労務が履行された部分についてのみ,労働者は,労務を履行した割合に応じて算出される金額を報酬として請求することができると考えられている。 そこで,このような解釈を明らかにするため,労務の履行が期間の中途で終了したときは,労働者が,既に履行した労務の割合に応じて報酬を請求することができるということについて,明文の規定を設けるべきであるという考え方が提示されているが,このような考え方について,どのように考えるべきか。』


民法(債権関係)の改正に関する検討事項(12)詳細版,こちら


【昭和63年3月15日,最高裁判所第3小法廷,仮払金返戻請求事件】

【判事事項】

一 賃金の仮払を命ずる仮処分の執行後に仮処分命令が控訴審で取り消された場合と仮処分債務者の仮払金返還請求権

二 賃金の仮払を命ずる仮処分の執行に係る仮払金の返還請求訴訟と仮処分債権者が本案訴訟で訴求中の賃金債権を自働債権とする相殺の抗弁の許否


【裁判要旨】

一 賃金の仮払を命ずる仮処分の執行後に仮処分命令が控訴審で取り消された場合には、本案訴訟が未確定であり、又は従業員としての地位保全の仮処分が同時に発せられていたときであつても、仮処分債務者は、特段の事情がない限り、仮処分債権者に対し仮払金の返還請求権を取得し、その返還義務の範囲は不当利得の規定に準じてこれを定めるべきである。

二 賃金の仮払を命ずる仮処分の執行に係る仮払金の返還請求訴訟において、仮処分債権者が本案訴訟で訴求中の賃金債権を自働債権とする相殺の抗弁を提出することは許されない。


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