業務・試験対策

MEASURES

行政書士試験判例 伊方発電所原子炉設置許可処分取消

【平成28年出題】
【問題】原子炉施設の安全性に関する処分行政庁の判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理・判断は、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた処分行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らし、調査審議において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、あるいは当該原子炉施設がその具体的審査基準に適合するとした原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤・欠落があり、行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、処分行政庁の判断に不合理な点があるものとして、その判断に基づく原子炉設置許可処分は違法となると解すべきである。

【平成4年10月29日,最高裁判所第一小法廷,伊方発電所原子炉設置許可処分取消】

【判事事項】

一 原子炉設置許可処分の取消訴訟における審理・判断の方法

二 原子炉設置許可処分の取消訴訟における主張・立証

三 原子炉設置許可の段階における安全審査の対象


【裁判要旨】

一 原子炉施設の安全性に関する被告行政庁の判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理、判断は、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた被告行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであつて、現在の科学技術水準に照らし、右調査審議において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、あるいは当該原子炉施設が右の具体的審査基準に適合するとした原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、被告行政庁の右判断に不合理な点があるものとして、右判断に基づく原子炉設置許可処分は違法と解すべきである。

二 原子炉施設の安全性に関する被告行政庁の判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟においては、右判断に不合理な点があることの主張、立証責任は、本来、原告が負うべきものであるが、被告行政庁の側において、まず、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の調査審議において用いられた具体的審査基準並びに調査審議及び判断の過程等、被告行政庁の判断に不合理な点のないことを相当の根拠、資料に基づき主張、立証する必要があり、被告行政庁が右主張、立証を尽くさない場合には、被告行政庁がした右判断に不合理な点があることが事実上推認される。

三 原子炉設置の許可の段階の安全審査においては、当該原子炉施設の基本設計の安全性にかかわる事項のみをその対象とするものと解すべきである。


解答〇 この判例は,重要なので上記【裁判要旨】3点は押さえましょう。