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令和2年行政書士試験出題【昭和55年2月22日,住民訴訟損害賠償】

【昭和55年2月22日,最高裁判所第2小法廷】,詳しくはこちら
住民訴訟損害賠償
令和2年行政書士試験出題【問題24】


【判事事項】

一 地方公共団体が地方債を起こす方法によらずに金融機関から資金を借り入れ公共用地の購入代金の支払にあてた場合において支払利息の全額が地方公共団体の損害にはあたらないとされた事例

二 原告の死亡と住民訴訟の終了


【裁判要旨】

一 長期資金の借入れを必要とした地方公共団体が、地方債を起こす方法によらずに金融機関から資金を借り入れ公共用地の購入代金の支払にあて金融機関に対し利息額を支払つたなど判示の事実関係のもとにおいては、右支払利息額のうち地方債の発行に伴い地方公共団体が通常負担するであろう利息等の費用に相当する額は、損害にあたらない。

二 地方自治法242条の2に規定する住民訴訟は、原告の死亡により終了する。


『原審が確定した事実の要旨は、(1)a町は、昭和38年10月1日、訴外E株式会社から本件土地を公共用地として取得するについて、町議会の議決を経たうえ、これを買受ける旨の売買契約を締結した、(2)a町は、購入代金の支払にあてるため、D信用金庫から総額1億2384万5000円を利息日歩二銭一厘ないし二銭三厘の約定で借り入れ、これを同年12月27日までにE株式会社に支払つて本件土地を取得した、(3)a町は、借入時から昭和42年3月23日までの利息合計3263万9719円(以下「本件利息額」という。)を同信用金庫に支払つた、(4)本件借入れは、地方自治法に定める地方債又は一時借入金の方法によるものではなかつた、というのである。原審は、右の事実関係のもとにおいて、本件借入れは地方自治法に定める地方債又は一時借入金のいずれの方法にもあたらない違法な措置であり、右違法な借入れに基づく本件利息の支払も違法であるから、a町は本件利息額相当の損害を受けた旨判断した。ところで、右の事実関係によれば、a町は本件土地の購入代金支払のため会計年度を超える長期資金の借入れを必要としていたところ、a町が地方債を起こし資金を調達したとしても利息等の費用の負担を余儀なくされるのであるから、本件利息額の全額をa町が受けた損害と解すべきではなく、地方債の発行に伴いa町が通常負担するであろう利息等の費用に相当する額は、損害にあたらないものと解するのが相当である。したがつて、前記の事実関係から直ちに、a町が本件利息額相当の損害を受けたと判断した原判決は、法令の解釈適用を誤り、ひいては審理不尽の違法があるといわざるをえず、右違法は原判決中判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、その余の点について判断するまでもなく論旨は理由があり、原判決中上告人ら敗訴部分は破棄を免れない。そして更に審理を尽くさせる必要があるから、被上告人Bを除くその余の被上告人らの請求に関する右部分につき、本件を原審に差し戻すのが相当である。職権をもつて調査するに、記録によれば、被上告人Bは昭和50年8月30日死亡していることが明らかである。地方自治法242条の2に規定する住民訴訟は、原告が死亡した場合においては、その訴訟を承継するに由なく、当然に終了するものと解すべきであるから、本件訴訟中同被上告人の請求に関する部分は、その死亡により当然に終了しているのであり、これを看過してなされた原判決は破棄を免れない。』