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行政事件訴訟法【判例集】建築確認の取消を求める訴えの利益の有無

【昭和59年10月26日,最高裁判所第2小法廷,建築基準法による確認処分取消】

【判事事項】

工事が完了した場合における建築確認の取消を求める訴えの利益の有無


【裁判要旨】

建築基準法6条1項による確認を受けた建築物の建築等の工事が完了したときは、右確認の取消を求める訴えの利益は失われる。

『建築基準法によれば、建築主は、同法6条1項の建築物の建築等の工事をしようとする場合においては、右工事に着手する前に、その計画が当該建築物の敷地、構造及び建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築関係規定」という。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受けなければならず(6条1項。以下この確認を「建築確認」という。)、建築確認を受けない右建築物の建築等の工事は、することができないものとされ(6条5項)、また、建築主は、右工事を完了した場合においては、その旨を建築主事に届け出なければならず(7条1項)、建築主事が右届出を受理した場合においては、建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の吏員は、届出に係る建築物及びその敷地が建築関係規定に適合しているかどうかを検査し(7条2項)、適合していることを認めたときは、建築主に対し検査済証を交付しなければならないものとされている(7条3項)。そして、特定行政庁は、建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に違反した建築物又は建築物の敷地については、建築主等に対し、当該建築物の除却その他これらの規定に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる(9条1項。以下この命令を「違反是正命令」という。)、とされている。これらの一連の規定に照らせば、建築確認は、建築基準法6条1項の建築物の建築等の工事が着手される前に、当該建築物の計画が建築関係規定に適合していることを公権的に判断する行為であつて、それを受けなければ右工事をすることができないという法的効果が付与されており、建築関係規定に違反する建築物の出現を未然に防止することを目的としたものということができる。しかしながら、右工事が完了した後における建築主事等の検査は、当該建築物及びその敷地が建築関係規定に適合しているかどうかを基準とし、同じく特定行政庁の違反是正命令は、当該建築物及びその敷地が建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合しているかどうかを基準とし、いずれも当該建築物及びその敷地が建築確認に係る計画どおりのものであるかどうかを基準とするものでない上、違反是正命令を発するかどうかは、特定行政庁の裁量にゆだねられているから、建築確認の存在は、検査済証の交付を拒否し又は違反是正命令を発する上において法的障害となるものではなく、また、たとえ建築確認が違法であるとして判決で取り消されたとしても、検査済証の交付を拒否し又は違反是正命令を発すべき法的拘束力が生ずるものではない。したがつて、建築確認は、それを受けなければ右工事をすることができないという法的効果を付与されているにすぎないものというべきであるから、当該工事が完了した場合においては、建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われるものといわざるを得ない。』


【令和2年出題】
【問題】建築基準法に基づく建築確認の取消しが求められた場合において、当該建築確認に係る建築物の建築工事が完了した後でも、当該建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われない。

【実務ポイント】✨

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【昭和59年10月26日,最高裁判所第2小法廷】,詳しくはこちら