重要事項説明 消費者が悪徳不動産に騙されないための予備知識【13】の5
法第35条第1項第14号の省令事項(規則第16条の4の3)について
宅地の売買又は交換の契約に当たっては以下の1から3を,建物の売買又は交換の契約に当たっては1から6までの事項を,宅地の貸借の契約に当たっては1から3まで及び8から13までの事項を,建物の貸借の契約に当たっては1から5まで及び7から12までの事項を説明することとする。
【宅地の売買又は交換の契約に当たっては以下の1から3】
1 宅地又は建物が造成宅地防災区域内にある旨について(規則第16条の4の3第1号関係)
本説明義務は,売買・交換・貸借の対象である宅地又は建物が宅地造成等規制法第20条第1項により指定された造成宅地防災区域内にあるか否かについて消費者に確認せしめるものである。
2 宅地又は建物が土砂災害警戒区域内にある旨について(規則第16条の4の3第2号関係)
本説明義務は,売買・交換・貸借の対象である宅地又は建物が土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律第6条第1項により指定された土砂災害警戒区域内にあるか否かについて消費者に確認せしめるものである。
3 宅地又は建物が津波災害警戒区域内にある旨について(規則第16条の4の3第3号関係)
本説明義務は,売買・交換・貸借の対象である宅地又は建物が津波防災地域づくりに関する法律第53条第1項により指定された津波災害警戒区域内にあるか否かについて消費者に確認せしめるものである。
【建物の売買又は交換の契約に当たっては上記1~3から下記の6までの事項】
4 建物に係る石綿の使用の有無の調査の結果について(規則第16条の4の3第4号関係)
石綿の使用の有無の調査結果の記録が保存されているときは,「その内容」として,調査の実施機関,調査の範囲,調査年月日,石綿の使用の有無及び石綿の使用の箇所を説明することとする。ただし,調査結果の記録から,これらのうちいずれかが判明しない場合にあっては,売主等に補足情報の告知を求め,それでもなお判明しないときは,その旨を説明すれば足りるものとする。調査結果の記録から容易に石綿の使用の有無が確認できる場合には,当該調査結果の記録を別添することも差し支えない。本説明義務については,売主及び所有者に当該調査の記録の有無を照会し,必要に応じて管理組合,管理業者及び施工会社にも問い合わせた上,存在しないことが確認された場合又はその存在が判明しない場合は,その照会をもって調査義務を果たしたことになる。なお,本説明義務については,石綿の使用の有無の調査の実施自体を宅地建物取引業者に義務付けるものではないことに留意すること。また,紛争の防止の観点から,売主から提出された調査結果の記録を説明する場合は,売主等の責任の下に行われた調査であることを,建物全体を調査したものではない場合は,調査した範囲に限定があることを,それぞれ明らかにすること。
5 建物の耐震診断の結果について(規則第16条の4の3第5号関係)次の書類を別添することとして差し支えない。
・住宅の品質確保の促進等に関する法律第5条第1項に規定する住宅性能評価書の写し(当該家屋について平成13年国土交通省告示1346号別表2-1の1-1耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)に係る評価を受けたものに限る。)
・租税特別措置法施行規則に規定する国土交通大臣が財務大臣と協議して定める書類又は地方税法施行規則に規定する国土交通大臣が総務大臣と協議して定める書類であって所定の税制特例を受けるために必要となる証明書(耐震基準適合証明書,住宅耐震改修証明書,固定資産税減額証明書又は耐震改修に関して発行された増改築等工事証明書)の写し
・指定確認検査機関,建築士,登録住宅性能評価機関,地方公共団体が作成した建築物の耐震診断結果報告書の写し 昭和56年5月31日以前に確認を受けた建物であるか否かの判断にあたっては,確認済証又は検査済証に記載する確認済証交付年月日の日付をもとに判断することとする。
確認済証又は検査済証がない場合は,建物の表題登記をもとに判断することとし,その際,居住の用に供する建物(区分所有建物を除く)の場合は,表題登記日が昭和56年12月31日以前であるもの,事業の用に供する建物及び区分所有建物の場合は,表題登記日が昭和58年5月31日以前であるものについて説明を行うこととする。また,家屋課税台帳に建築年月日の記載がある場合についても同様に取扱うこととする。また,本説明義務については,売主及び所有者に当該耐震診断の記録の有無を照会し,必要に応じて管理組合及び管理業者にも問い合わせた上,存在しないことが確認された場合は,その照会をもって調査義務を果たしたことになる。なお,本説明義務については,耐震診断の実施自体を宅地建物取引業者に義務付けるものではないことに留意すること。建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成17年法律第120号)の施行前に行った耐震診断については,改正前の建築物の耐震改修の促進に関する法律第3条に基づく特定建築物の耐震診断及び耐震改修に関する指針(平成7年建設省告示第2089号)に基づいた耐震診断であり,耐震診断の実施主体が規則第16条の4の3第5号イからニまでに掲げるものである場合には,同号に規定する耐震診断として差し支えない。
6 住宅性能評価制度を利用する新築住宅である旨について(規則第16条の4の3第6号関係)
本説明義務は,住宅の品質確保の促進等に関する法律の住宅性能評価制度を利用した新築住宅であるか否かについて消費者に確認せしめるものであり,当該評価の具体的内容の説明義務まで負うものではない。
【建物の貸借の契約に当たっては上記1から5まで及び下記の7から12】
7 浴室,便所等建物の設備の整備の状況について(規則第16条の4の3第7号関係)
建物の貸借の契約の場合においては,浴室,便所,台所等建物の設備の整備の有無,形態,使用の可否等日常生活に通常使用する設備の整備の状況を説明事項としている。例えば,ユニットバス等の設備の形態,エアコンの使用の可否が該当する。また,規則第16条の4の3第7号に掲げた設備は,専ら居住用の建物を念頭に置いた例示であるので,事業用の建物(オフィス,店舗等)にあっては,空調設備等事業用の建物に固有の事項のうち,事業の業種,取引の実情等を勘案し重要なものについて説明する必要がある。
【宅地の貸借の契約に当たっては上記1から3まで及び下記の8から13までの事項】
8 契約期間及び契約の更新に関する事項について(規則第16条の4の3第8号関係)
規則第16条の4の3第8号は,例えば契約の始期及び終期,2年毎に更新を行うこと,更新時の賃料の改定方法等が該当する。また,こうした定めがない場合は,その旨の説明を行う必要がある。
9 定期借地権,定期建物賃貸借及び終身建物賃貸借について(規則第16条の4の3第9号関係)
定期借地権を設定しようとするとき,定期建物賃貸借契約又は終身建物賃貸借契約をしようとするときは,その旨を説明することとする。なお,定期建物賃貸借に関する上記説明義務は,借地借家法第38条第2項に規
定する賃貸人の説明義務とは別個のものである。また,宅地建物取引業者が賃貸人を代理して当該説明義務を行う行為は,宅地建物取引業法上の貸借の代理の一部に該当し,関連の規定が適用されることとなる。
10 用途その他の利用の制限に関する事項について(規則第16条の4の3第10号関係)
規則第16条の4の3第10号は,例えば事業用としての利用の禁止等の制限,事業用の業種の制限のほか,ペット飼育の禁止,ピアノ使用の禁止等の利用の制限が該当する。なお,増改築の禁止,内装工事の禁止等賃借人の権限に本来属しないことによる制限については,規則第16条の4の3第10号に係る事項には含まれないものとする。
11 契約終了時における金銭の精算に関する事項について(規則第16条の4の3第11号関係)
規則第16条の4の3第11号は,例えば賃料等の滞納分との相殺や一定の範囲の原状回復費用として敷金が充当される予定の有無,原状回復義務の範囲として定まっているものなどが該当する。なお,本事項は,貸借の契約の締結に際してあらかじめ定まっている事項を説明すべき事項としたものであり,こうした事項が定まっていない場合にはその旨を説明する必要がある。
12 管理委託を受けた者の氏名及び住所について(規則第16条の4の3第12号関係)
アパート等の賃貸においても区分所有建物の場合と同様,重要事項説明書に管理者の氏名,住所及び賃貸住宅管理業者登録規程(平成23年国土交通省告示第998号)第5条第1項第2号の登録番号を記載し,その旨説明することとする。ただし,賃貸住宅管理業者登録規程の登録を受けていない場合には,管理者の氏名及び
住所を記載し,説明することとする。なお,ここでいう管理者には,単純な清掃等建物の物理的な維持行為のみを委託されている者までも含む趣旨ではない。
3 契約終了時における建物の取壊しに関する事項について(規則第16条の4の3第13号関係)
主に一般定期借地権を念頭においているものである。例えば、50年後に更地にして返還する条件がある場合にあっては,その内容が該当する。