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公務員試験・行政書士試験民法改正【第635条】削除

【旧民法(改正前)】

第635条
仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達する ことができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。


【新民法(改正後)】

第635条 
削除


【出典:民法(債権関係)の改正に関する検討事項(12) 詳細版】

『土地の工作物に関する解除制限の見直し
民法第635条ただし書は,仕事の目的物に瑕疵があり,そのために契約をした目的を達成することができない場合であっても,目的物が土地の工作物であるときは契約を解除することができないと規定している。土地工作物に瑕疵がある場合に契約の解除が制限されるのは,土地工作物を収去することは請負人にとって過大な負担となり,また,収去することによる社会経済的な損失も大きいからであるとされている。
しかし,判例には,建物に重大な瑕疵があるために建て替えざるを得ない場合には,注文者は建替えに要する費用相当額の賠償を請求することができ,このことは同条ただし書の趣旨に反しないとしたものがある(最判平成14年9月24日判時1801号77頁)。この判決は,「請負人が建築した建物に重大な瑕疵があって建て替えるほかはない場合に,当該建物を収去することは社会経済的に大きな損失をもたらすものではなく,また,そのような建物を建て替えてこれに要する費用を請負人に負担させることは,契約の履行責任に応じた損害賠償責任を負担させるものであって,請負人にとって過酷であるともいえない」としている。これを前提とすれば,建物に重大な瑕疵があるために建て替えざるを得ない場合には注文者による契約の解除を認めてもよいことになるはずであるとして,上記判例は実質的には同条ただし書を修正する判断を示したものであるとの評価がある。
以上を踏まえ,土地の工作物を目的とする請負の解除制限を廃止すべきであるとの考え方(参考資料1[検討委員会試案]・365頁)や,解除を原則として制限しつつ,工作物の建替えを必要とする場合には解除することができるものとすべきであるとの考え方(参考資料2[研究会試案]・214頁)が提示されているが,どのように考えるか。』


民法(債権関係)の改正に関する検討事項(12) 詳細版は,こちら


【平成14年9月24日,最高裁判所第3小法廷,損害賠償請求事件】

【判事事項】

建築請負の仕事の目的物である建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合に注文者が請負人に対し建物の建て替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することの可否


【裁判要旨】

建築請負の仕事の目的物である建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には,注文者は,請負人に対し,建物の建て替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。


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