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令和2年行政書士試験出題【昭和55年11月25日,審査請求棄却処分取消、運転免許停止処分取消事件】

【昭和55年11月25日,最高裁判所第3小法廷】詳しくはこちら
審査請求棄却処分取消、運転免許停止処分取消事件
令和2年行政書士本試験出題【問題26】


【判示事項】

自動車運転免許効力停止処分後無違反・無処分で1年を経過した場合と右処分の取消を求める訴の利益


【裁判要旨】

自動車運転免許の効力停止処分を受けた者は、免許の効力停止期間を経過し、かつ、右処分の日から無違反・無処分で1年を経過したときは、右処分の取消によつて回復すべき法律上の利益を有しない。


『原審が適法に確定したところによれば、福井県警察本部長は、昭和48年12月17日被上告人に対し自動車運転免許の効力を30日間停止する旨の処分(以下「本件原処分」という。)をしたが、同日免許の効力停止期間を29日短縮した、被上告人は、本件原処分の日から満1年間、無違反・無処分で経過した、というのである。右事実によると本件原処分の効果は右処分の日一日の期間の経過によりなくなつたものであり、また、本件原処分の日から1年を経過した日の翌日以降、被上告人が本件原処分を理由に道路交通法上不利益を受ける虞がなくなつたことはもとより、他に本件原処分を理由に被上告人を不利益に取り扱いうることを認めた法令の規定はないから、行政事件訴訟法9条の規定の適用上、被上告人は、本件原処分及び本件裁決の取消によつて回復すべき法律上の利益を有しないというべきである。この点に関して、原審は、被上告人には、本件原処分の記載のある免許証を所持することにより警察官に本件原処分の存した事実を覚知され、名誉、感情、信用等を損なう可能性が常時継続して存在するとし、その排除は法の保護に値する被上告人の利益であると解して本件裁決取消の訴を適法とした。しかしながら、このような可能性の存在が認められるとしても、それは本件原処分がもたらす事実上の効果にすぎないものであり、これをもつて被上告人が本件裁決取消の訴によって回復すべき法律上の利益を有することの根拠とするのは相当でない。そうすると、本件裁決取消の訴を適法とし本案につき判断した原判決には、法令の解釈を誤つた違法があり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから論旨は理由がある。原判決は破棄を免れず、第一審判決を取り消して被上告人の本件訴を却下すべきである。よつて、行政事件訴訟法7条、民訴法408条1号、396条、386条、96条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。』


【試験ポイント】✨
『当該違反行為を理由とする違反点数の効力が残っていた場合は,訴えの利益は有する』