業務・試験対策

MEASURES

大分行政書士試験対策判例 民法改正ポイント新設【第258条(裁判による共有物の分割)】

【旧民法(改正前)】↓

第258条(裁判による共有物の分割)
共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。


【新民法(改正後),令和3年4月21日成立,同月28日公布,令和5年4月1日施行】 ↓

第258条(裁判による共有物の分割)
共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2 裁判所は、次に掲げる方法により、共有物の分割を命ずることができる。
一 共有物の現物を分割する方法
二 共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法
3 前項に規定する方法により共有物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。
4 裁判所は、共有物の分割の裁判において、当事者に対して、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。


【改正ポイント】🌸

改正ポイントして,「賠償分割に関する規律の整備」「給付命令に関する規律の整備」です。基礎的な用語として,現物分割(共有物を共有持分割合に応じて物理的に分ける方法),競売分割(共有物を競売により第三者に売却し,売却代金を共有持分割合に応じて共有者で分ける方法),賠償分割(共有物を共有者の一人の所有にし,共有物を取得した者が他の共有者に代償金を支払う方法)


【平成8年10月31日, 最高裁判所第1小法廷,持分権確認並びに共有物分割】

【判事事項】

一 いわゆる全面的価格賠償の方法による共有物分割の許否

二 共有物を取得させるべき者に賠償金の支払能力があることを確定しないでいわゆる全面的価格賠償の方法により共有物を分割した原審の判断に違法があるとされた事例


【裁判要旨】

一 民法258条により共有物の分割をする場合において、当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ、かつ、その価格が適正に評価され、当該共有物を取得する者に支払能力があって、他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情があるときは、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法(いわゆる全面的価格賠償の方法)によることも許される。

二 共有不動産の分割をする場合において、右不動産を共有者の一人である甲に取得させるのが相当でないとはいえないとしても、甲に他の共有者に対する賠償金の支払能力がある事実を確定することなく、直ちにいわゆる全面的価格賠償の方法を採用し、右不動産を甲の単独所有とした上、甲に対して他の共有者の持分の価格の賠償を命じた原審の判断には、違法がある。