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行政書士試験過去問 合名会社および合資会社

【平成28年行政書士試験出題】

【問題】合名会社および合資会社(以下、本問において併せて「会社」という。)に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。なお、定款には別段の定めがないものとする。

ア 会社は、定款に資本金の額を記載し、これを登記する。

イ 会社がその財産をもってその債務を完済することができない場合、社員は、それぞれの責任の範囲で連帯して会社の債務を弁済する責任を負う。

ウ 会社の持分は、社員たる地位を細分化したものであり、均一化された割合的単位で示される。

エ 会社の社員は、会社に対し、既に出資として払込みまたは給付した金銭等の払戻しを請求することができる。

オ 会社の社員は、会社の業務を執行し、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務を負う。


1 ア・ウ

2 ア・オ

3 イ・ウ

4 ウ・エ

5 エ・オ


【持分会社の対比】↓

【合名会社(576条2項)】無限責任社員

【合資会社(576条3項)】有限責任社員・無限責任社員

【合同会社(576条4項)】有限責任社員


※ 「社員」とは,会社の出資者

※ 有限責任と無限責任の違いは,出資者(社員)が負うべき責任の範囲のこと。

※【株式会社(104条)】有限責任社員


【試験ポイント】✨

ア✖ 会社法912条・913条 合名会社・合資会社において,資本金は登記事項ではない。因みに,914条のとおり,合同会社においては,資本金は登記事項に注意。

イ〇 会社法第580条(社員の責任)1項1号

ウ✖ 「持分」のことではなく「株式」の説明。「株式」=細分化された均等な割合的単位の形。

エ〇 会社法624条1項『社員は、持分会社に対し、既に出資として払込み又は給付をした金銭等の払戻し(以下この編において「出資の払戻し」という。)を請求することができる。この場合において、当該金銭等が金銭以外の財産であるときは、当該財産の価額に相当する金銭の払戻しを請求することを妨げない。』

オ〇 会社法第593条(業務を執行する社員と持分会社との関係)1項『業務を執行する社員は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務を負う。』


【会社法(改正対応)】↓

第104条(株主の責任)
株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする。

第576条(定款の記載又は記録事項)
持分会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 社員の氏名又は名称及び住所
五 社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別
六 社員の出資の目的(有限責任社員にあっては、金銭等に限る。)及びその価額又は評価の標準
2 設立しようとする持分会社が合名会社である場合には、前項第5号に掲げる事項として、その社員の全部を無限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。
3 設立しようとする持分会社が合資会社である場合には、第1項第5号に掲げる事項として、その社員の一部を無限責任社員とし、その他の社員を有限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。
4 設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、第1項第5号に掲げる事項として、その社員の全部を有限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。

第580条(社員の責任)
社員は、次に掲げる場合には、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負う。一 当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合
二 当該持分会社の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合(社員が、当該持分会社に弁済をする資力があり、かつ、強制執行が容易であることを証明した場合を除く。)
2 有限責任社員は、その出資の価額(既に持分会社に対し履行した出資の価額を除く。)を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負う。

第593条(業務を執行する社員と持分会社との関係)
業務を執行する社員は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務を負う。
2 業務を執行する社員は、法令及び定款を遵守し、持分会社のため忠実にその職務を行わなければならない。
3 業務を執行する社員は、持分会社又は他の社員の請求があるときは、いつでもその職務の執行の状況を報告し、その職務が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
4 民法第646条から第650条までの規定は、業務を執行する社員と持分会社との関係について準用する。この場合において、同法第646条第1項、第648条第2項、第648条の二、第649条及び第650条中「委任事務」とあるのは「その職務」と、同法第648条第3項第1号中「委任事務」とあり、及び同項第2号中「委任」とあるのは「前項の職務」と読み替えるものとする。
5 前2項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。

第624条 社員は、持分会社に対し、既に出資として払込み又は給付をした金銭等の払戻し(以下この編において「出資の払戻し」という。)を請求することができる。この場合において、当該金銭等が金銭以外の財産であるときは、当該財産の価額に相当する金銭の払戻しを請求することを妨げない。
2 持分会社は、出資の払戻しを請求する方法その他の出資の払戻しに関する事項を定款で定めることができる。
3 社員の持分の差押えは、出資の払戻しを請求する権利に対しても、その効力を有する。

第912条(合名会社の設立の登記)
合名会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる事項を登記してしなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店及び支店の所在場所
四 合名会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め
五 社員の氏名又は名称及び住所
六 合名会社を代表する社員の氏名又は名称(合名会社を代表しない社員がある場合に限る。)
七 合名会社を代表する社員が法人であるときは、当該社員の職務を行うべき者の氏名及び住所
八 第939条第1項の規定による公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め
九 前号の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項
イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
ロ 第939条第3項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め
十 第8号の定款の定めがないときは、第939条第4項の規定により官報に掲載する方法を公告方法とする旨

第913条(合資会社の設立の登記)
合資会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる事項を登記してしなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店及び支店の所在場所
四 合資会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め
五 社員の氏名又は名称及び住所
六 社員が有限責任社員又は無限責任社員のいずれであるかの別
七 有限責任社員の出資の目的及びその価額並びに既に履行した出資の価額
八 合資会社を代表する社員の氏名又は名称(合資会社を代表しない社員がある場合に限る。)
九 合資会社を代表する社員が法人であるときは、当該社員の職務を行うべき者の氏名及び住所
十 第939条第1項の規定による公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め
十一 前号の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項
イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
ロ 第939条第3項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め
十二 第10号の定款の定めがないときは、第939条第4項の規定により官報に掲載する方法を公告方法とする旨

第914条(合同会社の設立の登記)
合同会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる事項を登記してしなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店及び支店の所在場所
四 合同会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め
五 資本金の額
六 合同会社の業務を執行する社員の氏名又は名称
七 合同会社を代表する社員の氏名又は名称及び住所
八 合同会社を代表する社員が法人であるときは、当該社員の職務を行うべき者の氏名及び住所
九 第939条第1項の規定による公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め
十 前号の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項
イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
ロ 第939条第3項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め
十一 第9号の定款の定めがないときは、第939条第4項の規定により官報に掲載する方法を公告方法とする旨