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行政書士試験過去問判例 行政処分の無効と取消し

【平成30年出題】
【171】行政処分の違法を理由として国家賠償を請求するためには、その取消しまたは無効確認の確定判決をあらかじめ得ておく必要はない。

【昭和36年4月21日,最高裁判所第二小法廷,宅地買収不服、所有権確認請求】

【判事事項】

行政処分無効確認訴訟提起後に右処分が取り消された場合と訴の利益。


【裁判要旨】

行政処分無効確認訴訟は国家賠償請求の目的で提起されたものであるからといつて、処分庁が右処分を取り消した後においても、なおその法律上の利益があるということはできない。

原判決の確定した事実によれば、被上告人B農業委員会の前身たるD農地委員会は昭和23年12月16日自作農創設特別措置法15条に基き本件買収計画を樹立・公告したが、買収令書の交付される前に買収申請の取下があつたため、昭和27年5月28日本件買収計画を取り消す旨の決議をし、その頃これを公告したというのである。してみると、本件買収計画は、買収申請の取下により瑕疵を帯びるに至り、右瑕疵を理由とする取消により、初めに遡りその存在を失うに至つたものと解すべきであるから、上告人は、右計画の無効確認を求めるにつき法律上の利益を欠くに至つたものと解すべきである、右と同旨の結論をとる原判決は正当であり、所論は、右に反する独自の見解の下に原判決を非難するものであるか、又は原判決の結論に影響しない、その表現の不適切な部分をとらえてこれを攻撃するものであつて、すべて採用のかぎりでない。
同第二点について。
本件買収計画の無効確認を求めるにつき法律上の利益を欠く以上、所論の点については審理・判断する必要がないから、原判決に所論の違法があるということはできない。所論は採用し得ない。
同第六点の第一について。原審は、本件買収計画の無効確認請求に関する控訴については、一審判決を是認し、控訴棄却の判決をし、控訴審において追加された新訴については、訴の利益を欠くものとして却下の判決をしたものである。そして、控訴審における訴の変更により新訴が追加された場合には、新訴については事実上一審として判決をなすべきものであることは、当裁判所の判例とするところである(昭和25年(オ)第128号、同31年12月20日第1小法廷判決、民集10巻12号1573頁)。所論は、右に反する独自の見解を主張するものであつて、採用のかぎりでない。
同第六点の第二について。
買収の要件を定めた自作農創設特別措置法の規定が強行法規であることは所論のとおりであるが、強行法規の違背が常に行政処分の当然無効の原因となるものと解すべきではなく、その違背が重大かつ明白と認められる場合にかぎつて当然無効の原因となるものと解すべきことは当裁判所の判例とするところである(昭和32年(オ)第481号、同35年6月14日第3小法廷判決、民集14巻8号1342頁)。右に反する所論は、独自の見解あつて、採用に値しない。また、行政処分が違法であることを理由として国家賠償の請求をするについては、あらかじめ右行政処分につき取消又は無効確認の判決を得なければならないものではないから、本訴が被上告人委員会の不法行為による国家賠償を求める目的に出たものであるということだけでは、本件買収計画の取消後においても、なおその無効確認を求めるにつき法律上の利益を有するということの理由とするに足りない。
よつて、所論は、すべて採用しない。
同第七点について。
請求の基礎と請求自体とは別個の概念であり、原審において追加された新訴は、一審における請求と請求の基礎においては同じであることは所論のとおりであるが、 請求自体は別個のものと解すべきことは原審の判断するとおりである。所論は、右に反する独自の見解を前提とするものであつて、採用し得ない。
よつて、民訴401条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。


解答〇