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行政書士試験一般知識解説【消費者問題・消費者保護】時事問題 令和4年6月1日から施行

【平成29年行政書士試験出題】

【問題】消費者問題・消費者保護に関する次のア〜オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア 不当な表示による顧客の誘引を防止するため、不当な表示を行った事業者に対する課徴金制度が導入され、被害回復を促進するため、顧客への返金による課徴金額の減額等の措置も講じられている。

イ クレジットカードの国内発行枚数は、10億枚を超えており、無計画なクレジット利用から自己破産に陥る人数は、今世紀に入り毎年増加し続け、年100万人を超えている。

ウ 自動車のリコールとは、欠陥車が発見された場合、消費者庁が回収し自動車メーカーが無料で修理する制度のことをいう。

エ 全国規模のNPO法人である国民生活センターは、国民生活に関する情報の提供および調査研究を行うことはできるが、個別の消費者紛争の解決に直接的に関与することはできない。

オ 地方公共団体の消費生活センターは、消費生活全般に関する苦情や問合せなど、消費者からの相談を受け付け、専門の相談員が対応している。


1 ア・イ

2 ア・オ

3 イ・ウ

4 ウ・エ

5 エ・オ


【消費者被害の防⽌及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の⼀部を改正する法律の概要(令和3年6月16日公布)】↓

消費者の脆弱性につけ込む悪質商法に対する抜本的な対策強化、新たな⽇常における社会経済情勢等の変化への対応のため、特定商取引法・預託法等の改正による制度改⾰によって、消費者被害の防⽌・取引の公正を図る。


1 通販の「詐欺的な定期購⼊商法」対策

〇 定期購⼊でないと誤認させる表⽰等に対する直罰化

〇 上記の表⽰によって申込みをした場合に申込みの取消しを認める制度の創設

〇 通信販売の契約の解除の妨害に当たる⾏為の禁⽌

〇 上記の誤認させる表⽰や解除の妨害等を適格消費者団体の差⽌請求の対象に追加


2 送り付け商法対策

〇 売買契約に基づかないで送付された商品について、送付した事業者が返還請求できない規定の整備等(改正前は消費者が14⽇間保管後処分等が可能→改正後は直ちに処分等が可能に)


3 消費者利益の擁護増進のための規定の整備

〇 消費者からのクーリング・オフの通知について、電磁的⽅法(電⼦メールの送付等)で⾏うことを可能に(預託法も同様)

〇 事業者が交付しなければならない契約書⾯等について、消費者の承諾を得て、電磁的⽅法(電⼦メールの送付等)で⾏うことを可能に(預託法も同様)

〇 外国執⾏当局に対する情報提供制度の創設(預託法も同様)

〇 ⾏政処分の強化等


預託法の主な改正内容

1 販売預託の原則禁⽌

〇 販売を伴う預託等取引を原則禁⽌とし、罰則を規定

〇 原則禁⽌の対象となる契約を⺠事的に無効とする制度の創設

※ 預託等取引契約:3か⽉以上の期間にわたり物品の預託を受けること及び当該預託に関し財産上の利益の供与を約するもの

※ 例外的に認める場合には、厳格な⼿続の下、消費者庁が個別に確認

2 預託法の対象範囲の拡⼤

〇 現⾏の預託法の対象の限定列挙の廃⽌→全ての物品等を対象に

3 消費者利益の擁護増進のための規定の整備

〇 ⾏政処分の強化等


消費者裁判⼿続特例法の改正内容

被害回復裁判に資するために、特定適格消費者団体に対し、特定商取引法及び預託法の⾏政処分に関して作成した書類の提供を可能に


【課徴金制度を導入する景品表示法改正法の概要】↓

不当な表示による顧客の誘引を防止するため、不当な表示を行った事業者に対する課徴金制度を導入するとともに、被害回復を促進する観点から返金による課徴金額の減額等の措置を講ずる。


課徴金納付命令(第8条)

・対象行為:優良誤認表示行為、有利誤認表示行為を対象とする。

【不実証広告規制に係る表示について、一定の期間内に当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出がない場合には、当該表示を優良誤認表示と推定して課徴金を賦課する。】

・課徴金額の算定:対象商品・役務の売上額に3%を乗じる。

・対象期間:3年間を上限とする。

・主観的要素:違反事業者が相当の注意を怠った者でないと認められるときは、課徴金を賦課しない。

・規模基準:課徴金額が150万円未満となる場合は、課徴金を賦課しない。


課徴金対象行為該当事実の報告による課徴金額の減額(第9条)

課徴金対象行為に該当する事実を報告した事業者に対し、課徴金額の2分の1を減額する。


返金措置の実施による課徴金額の減額(第10条・第11条)

事業者が所定の手続に沿って返金措置を実施した場合は、課徴金 を命じない又は減額する。

※返金措置=対象商品・役務の取引をしたことが特定される一般消費者からの申出があった場合に、当該申出をした一般消費者の購入額に3%を乗じた額以上の金銭を交付する措置。

1: 実施予定返金措置計画の作成・認定

返金措置を実施しようとする事業者は、実施予定返金措置計画を作成し、消費者庁長官の認定を受ける。

2: 返金措置の実施

事業者は、実施予定返金措置計画に沿って返金措置を実施する。

3: 報告期限までに報告

返金措置における金銭交付相当額が課徴金額未満の場合→課徴金額の減額

返金措置における 金銭交付相当額が 課徴金額以上の場合→課徴金の納付を命じない


除斥期間(第12条第7項)

違反行為をやめた日から5年を経過したときは、課徴金を賦課しない。

公布日(平成26年11月27日)から1年6月以内に施行→平成28年4月1日


【試験ポイント】✨

行政書士業務に密接な関係がある特定商取引法など今年は出題されそうですね。

ア〇 不当景品類及び不当表示防止法8条~11条

イ✖ 司法統計によると,概ね7万件数で推移。

ウ✖ 欠陥車を回収するのは,消費者庁ではない。

『リコール制度とは,設計・製造過程に問題があったために,自動車メーカーが自らの判断により,国土交通大臣に事前届出を行った上で回収・修理を行い,事故・トラブルを未然に防止する制度です。国土交通省HP一部引用』

エ✖ 国民生活センター紛争解決手続(ADR)

国民生活センター紛争解決委員会は,重要消費者紛争(消費者と事業者との間で起こる紛争のうち,その解決が全国的に重要であるもの)について和解の仲介や仲裁を行います。

オ〇 原文のまま


【不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)改正対応】↓

第8条(課徴金納付命令)
事業者が、第5条の規定に違反する行為(同条第3号に該当する表示に係るものを除く。以下「課徴金対象行為」という。)をしたときは、内閣総理大臣は、当該事業者に対し、当該課徴金対象行為に係る課徴金対象期間に取引をした当該課徴金対象行為に係る商品又は役務の政令で定める方法により算定した売上額に100分の3を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。ただし、当該事業者が当該課徴金対象行為をした期間を通じて当該課徴金対象行為に係る表示が次の各号のいずれかに該当することを知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠つた者でないと認められるとき、又はその額が150万円未満であるときは、その納付を命ずることができない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であること又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であることを示す表示
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であること又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であることを示す表示
2 前項に規定する「課徴金対象期間」とは、課徴金対象行為をした期間(課徴金対象行為をやめた後そのやめた日から6月を経過する日(同日前に、当該事業者が当該課徴金対象行為に係る表示が不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれを解消するための措置として内閣府令で定める措置をとつたときは、その日)までの間に当該事業者が当該課徴金対象行為に係る商品又は役務の取引をしたときは、当該課徴金対象行為をやめてから最後に当該取引をした日までの期間を加えた期間とし、当該期間が3年を超えるときは、当該期間の末日から遡つて3年間とする。)をいう。
3 内閣総理大臣は、第1項の規定による命令(以下「課徴金納付命令」という。)に関し、事業者がした表示が第5条第1号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が当該資料を提出しないときは、同項の規定の適用については、当該表示は同号に該当する表示と推定する。

第9条(課徴金対象行為に該当する事実の報告による課徴金の額の減額)
前条第1項の場合において、内閣総理大臣は、当該事業者が課徴金対象行為に該当する事実を内閣府令で定めるところにより内閣総理大臣に報告したときは、同項の規定により計算した課徴金の額に100分の50を乗じて得た額を当該課徴金の額から減額するものとする。ただし、その報告が、当該課徴金対象行為についての調査があつたことにより当該課徴金対象行為について課徴金納付命令があるべきことを予知してされたものであるときは、この限りでない。

第10条(返金措置の実施による課徴金の額の減額等)
第15条第1項の規定による通知を受けた者は、第8条第2項に規定する課徴金対象期間において当該商品又は役務の取引を行つた一般消費者であつて政令で定めるところにより特定されているものからの申出があつた場合に、当該申出をした一般消費者の取引に係る商品又は役務の政令で定める方法により算定した購入額に100分の3を乗じて得た額以上の金銭を交付する措置(以下この条及び次条において「返金措置」という。)を実施しようとするときは、内閣府令で定めるところにより、その実施しようとする返金措置(以下この条において「実施予定返金措置」という。)に関する計画(以下この条において「実施予定返金措置計画」という。)を作成し、これを第15条第1項に規定する弁明書の提出期限までに内閣総理大臣に提出して、その認定を受けることができる。
2 実施予定返金措置計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 実施予定返金措置の内容及び実施期間
二 実施予定返金措置の対象となる者が当該実施予定返金措置の内容を把握するための周知の方法に関する事項
三 実施予定返金措置の実施に必要な資金の額及びその調達方法
3 実施予定返金措置計画には、第1項の認定の申請前に既に実施した返金措置の対象となつた者の氏名又は名称、その者に対して交付した金銭の額及びその計算方法その他の当該申請前に実施した返金措置に関する事項として内閣府令で定めるものを記載することができる。
4 第1項の認定の申請をした者は、当該申請後これに対する処分を受けるまでの間に返金措置を実施したときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、当該返金措置の対象となつた者の氏名又は名称、その者に対して交付した金銭の額及びその計算方法その他の当該返金措置に関する事項として内閣府令で定めるものについて、内閣総理大臣に報告しなければならない。
5 内閣総理大臣は、第1項の認定の申請があつた場合において、その実施予定返金措置計画が次の各号のいずれにも適合すると認める場合でなければ、その認定をしてはならない。
一 当該実施予定返金措置計画に係る実施予定返金措置が円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。
二 当該実施予定返金措置計画に係る実施予定返金措置の対象となる者(当該実施予定返金措置計画に第3項に規定する事項が記載されている場合又は前項の規定による報告がされている場合にあつては、当該記載又は報告に係る返金措置が実施された者を含む。)のうち特定の者について不当に差別的でないものであること。
三 当該実施予定返金措置計画に記載されている第2項第1号に規定する実施期間が、当該課徴金対象行為による一般消費者の被害の回復を促進するため相当と認められる期間として内閣府令で定める期間内に終了するものであること。
6 第1項の認定を受けた者(以下この条及び次条において「認定事業者」という。)は、当該認定に係る実施予定返金措置計画を変更しようとするときは、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣の認定を受けなければならない。
7 第5項の規定は、前項の認定について準用する。
8 内閣総理大臣は、認定事業者による返金措置が第1項の認定を受けた実施予定返金措置計画(第6項の規定による変更の認定があつたときは、その変更後のもの。次条第1項及び第2項において「認定実施予定返金措置計画」という。)に適合して実施されていないと認めるときは、第1項の認定(第6項の規定による変更の認定を含む。次項及び第10項ただし書において単に「認定」という。)を取り消さなければならない。
9 内閣総理大臣は、認定をしたとき又は前項の規定により認定を取り消したときは、速やかに、これらの処分の対象者に対し、文書をもつてその旨を通知するものとする。
10 内閣総理大臣は、第1項の認定をしたときは、第8条第1項の規定にかかわらず、次条第1項に規定する報告の期限までの間は、認定事業者に対し、課徴金の納付を命ずることができない。ただし、第8項の規定により認定を取り消した場合には、この限りでない。

第11条 認定事業者(前条第8項の規定により同条第1項の認定(同条第6項の規定による変更の認定を含む。)を取り消されたものを除く。第3項において同じ。)は、同条第1項の認定後に実施された認定実施予定返金措置計画に係る返金措置の結果について、当該認定実施予定返金措置計画に記載されている同条第2項第1号に規定する実施期間の経過後1週間以内に、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に報告しなければならない。
2 内閣総理大臣は、第8条第1項の場合において、前項の規定による報告に基づき、前条第1項の認定後に実施された返金措置が認定実施予定返金措置計画に適合して実施されたと認めるときは、当該返金措置(当該認定実施予定返金措置計画に同条第3項に規定する事項が記載されている場合又は同条第4項の規定による報告がされている場合にあつては、当該記載又は報告に係る返金措置を含む。)において交付された金銭の額として内閣府令で定めるところにより計算した額を第8条第1項又は第9条の規定により計算した課徴金の額から減額するものとする。この場合において、当該内閣府令で定めるところにより計算した額を当該課徴金の額から減額した額が零を下回るときは、当該額は、零とする。
3 内閣総理大臣は、前項の規定により計算した課徴金の額が1万円未満となつたときは、第8条第1項の規定にかかわらず、認定事業者に対し、課徴金の納付を命じないものとする。この場合において、内閣総理大臣は、速やかに、当該認 定事業者に対し、文書をもつてその旨を通知するものとする。